- 名前
- callo
- 性別
- ♂
- 年齢
- 58歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- ドキドキさがして ときどき うろうろ・・・
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いったい、キミは、どういう・・・
2009年01月25日 00:48
おなかがいっぱいになったあと、
まださらに、紫芋の氷菓が出てきて
それから熱いほうじ茶が供されて
ボクはそのお茶碗に添えられた
キミの手をカメラに収めた。
店の狭隘な階段を降りると
玄関にはとっとと表にでようとしない男女が
押し合いへしあい、
下駄箱から靴を出したり
上がり框に腰をどっかと下ろして履いてみたり
中の小太りの、胸のあらわな、
海老茶のドレスを着たおんなが、
ぴちぴちのシューズに
無理やり脚を詰め込もうとして
こちらが目のやり場に困るような
膝頭を思い切り抱え込むおうな
無理な体勢をとって、安定を喪い
皆に手を差し伸べられていて、
恐らく、ボクらの関係を訝っていたのだろう、
キミと、次にボクに、
睨むような視線を向けてきた
んなこと、キミに関係ないんだから、
とっととドアの外に、
出りゃあいいのに・・・
時計は、終電の近いことを知らせていた
地下鉄の入り口を求め
真っ暗な歩道を歩きながら
「気が利かない」
という、彼女の自己評価について
話した。
ボクは、その、気の利かなさ、というよりも、
周囲にまめやかな視線を向けようとしない
おおらかさ、鷹揚さ、というものを
矯めてはいけない、
そんなことを話した
もうちょっと早ければ
その先に、シュークリームの美味い喫茶店が
開いているはずだったけれど、
その方向には、もう灯りは見えなかった
けれど、駅はもう、すぐそこだ
並んで横断歩道を渡りながら
ボクは近眼の、キミのために
右手の、遠く青山トンネルの向こう側に
ぼんやりと浮かぶ、ヒルズの窓明かりと
正面に、波打つ、新国立美術館の
ガラスのファサードを
まるでめしいたひとに語るように
詳細に描写してみせた
暗がりに殆ど姿を隠しているその建物を
探し出すように目を凝らす
美しいキミの横顔を、
息を殺して、見つめながら
黒川紀章や丹下健三や、
そんなひとについての
わけのわかったような悪口を
すこしづつ挟んで
この子と恋愛する男は、
きっと大変だろう
なんて言葉が浮かんだとき、
思い出した
あ、いけない、
今日はそのことを
話すつもりだったのに・・・
そして、14時間ぐらいたって届いたメールを
今、漫然と、見つめている
「こんにちは!
今日は寒いですね…。
昨日はテレビとか雑誌では見たことあるけど・・という感じのお店で、今回もまた楽しかったです!ありがとうございます!!
趣があるという表現でいいのか分からないけど、とても刺激的(?)でした。
お話して『変わってる』ことにちょっと自信というか、このままで大丈夫!と思えて楽になりました。ありがとうございます!!
人それぞれ個性がなきゃつまらないですよね。
原稿、素敵でした。どんな話だろう・・?と想像したくなるような始まり方や最後も物語の余韻に浸れるような言葉が並んでいて。
今日はこれからホットヨガに行ってきます。汗をいっぱいかいて気持ちいいんですよ!」
何度か読み返しながら、
いくつか疑問が浮かぶ
この子はいったい、
どんな恋愛をしてきたんだろう?
ことさらこちらが尋ねもしない、
過去の交際、或いは恋愛?について、
必ず一度、触れるのは、
いったい、何を思ってのことなのだろう?
ええと、昨日はなんだったっけ?
忘れちゃったけど、
きっとそれは、あまりよくない思い出として
語っていたからなんだろう、と思う
この子のこころに、
翳りをもたらしていること・・・
あるいは、なんでもなさすぎて
つまらないけれど、
それなりに、恋愛の、
ひとやま、ふたやま越えているはずの
齢を重ねた、淑女として、
アリバイのように、示しておきたいことなんだろうか?
ボクに、何かを見透かされていること
いや、違うな
ボクに、何かを隠そうとは思っていないこと、を前提として
公務員という父親に決められてするという
お見合いの相手を
値踏みしろ?
「こいつはやめておけ、とか・・・」
ケチャケチャと、
白く美しい歯をこぼしながら
そんなことを口にする
いくらなんでも、
そんなに親しくなんて
ないぢゃないか、と
くちびるのひとつも尖らせて
抗議したい気持ちを抑えつつ
ボクもケラケラと、つられて笑う、ふりをする。
ちっとも面白くなんて、ないのに。
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