- 名前
- callo
- 性別
- ♂
- 年齢
- 58歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- ドキドキさがして ときどき うろうろ・・・
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金曜日の裏側で Ⅱ
2009年01月18日 23:49
寒いとはいえ、週末
銀座から日本橋へと向かう通りは
一週間を終えたOLが
いそいそと、自分へのご褒美の時間をすごす為
行き交っている
幸いにも、店外の行列はなく、
けれど20あまりのシートは人とカバンとコートを入れて
満席だった
見事に客は、会社帰りのOLばかり
男はボクと、もうひとりだけだった
ワッフルとケーキをオーダーし
番号札三番を持って待っていると
入り口のドアの左右両脇に
外側に向け、ふたつづつ、シートが並んでいて、
そこに座る人は、まるでショウウインドウに並ぶ
商品みたいに、外の通行人の目に
さらされてしまう
ひとりはちょっとイライラしながら、
誰かを待っている
もうひとりは、手帳を取り出して
何かを書いている
ご両人とも、二つあるシートを自分のコートとカバンで塞ぎ
待っている客を気にしていないことは
同じだった。
ボクはちょっとキミをからかってみたくなる
キミはもし、ひとりで来て、
あのシートを案内されたら
どうする?
右に座る?左に座る?
座って、飲み物が出てくるまで
何をする?
なんて・・・
そこはきっと、お店にとって
特別な場所に違いない
檀れいはいいけど、
もたいまさこは座ってはいけない
多分、そういう場所だ、とボクは思う
質問をしながら、ボクはキミがそのシートに座ったことを
イメージしている
キミのこたえは、ほぼそのイメージどおり、
you deserve it
期待通りの答えばかり返ってくるうち、
5分ほどで席は空く
チョコレートの陳列された棚と
それを照らす照明を背負ったキミは
いつにも増して、愉しそうで、
その無防備な笑顔は
温かい飲み物とケーキを前にして
よりいっそう、ぴかぴかになった
ボクは、目の前のワッフルを撮るふりをして
キミの笑顔にレンズを向けた
チョコレートについてのレクチャーは
また改めて。
ボクは自分のワッフルと
マスカルポーネと黒胡椒の載った
暖かいChocolateをキミにおすそ分けした
恋人、ではなく、
娘の笑顔を悦ぶ、
父親のようなありさまで
やっぱり風は冷たいままだったけれど
甘いものに満たされて、
寒さは少し、遠くなっている
駅までの道を歩きながら
ボクは尋ねられもしないのに、
以前店を訪れた時のことを
少しだけ話した
いつかきっと、
もう少しだけ、詳しく
話すことになるだろう、
そんなことを思い浮かべながら
誰に何も見られても、
緊張するに違いないキミの
痛々しいこころを思い、
地下鉄への入り口まで、で
見送りをやめ、ボクは踵を返す
笑顔、もそうだったけれど、
キミは仕事の話を、殆どすることがなかった。
会うたびに、そうなってきている、
そんな気がして、
ボクはマスクの下で
口元を緩め、
八重洲地下街への階段を降りる
やっと少しだけ、地図が消えたことに
躍るような心を、こらえつつ
さっきのスティルをキミに送ると
「被写体の的絞りがまだまだですね(笑)」
なんて素敵に生意気なんだろう・・・
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