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納棺夫日記 増補改訂版

2008年12月10日 08:33

納棺夫日記 増補改訂版

映画「おくりびと」にきっと影響を与えたであろう、青木新門さんの「納棺夫日記」(増補改訂版)を読みました。文春文庫から出ています。

出だしが映画「おくりびと」と同じ、雪山のバックではじまります。
「今朝、立山に雪が来た。
全身に殺気にも似た冷気が走る。今日から、湯灌、納棺の仕事を始めることにした」
これが始まりの文章です。
もっとも映画のように笑いをことさら必要としないので、対象は普通の老人の遺体なのですが。
この本が「おくりびと」と大きく異なるのは、死人と対面し、死人を見つめることで、作者青木新門さんは、「いのち」とはなにかを感じ取り、そこに涙することができるようになることです。いのちあるものすべて、人だけでなく、蛆虫やトンボの卵にさえ、いのちの光をみるようになることです。
そうした体験をした以上は、ものの考え方がかわり、人とは何か、命とは何か、宗教とは何かと考えるのはきわめて自然な道筋です。
第三章はきわめて宗教的な内容になり、とくに大乗仏教についての、考察となっています。
読者はこの第三章を読んで、宗教に縁遠いと自覚している人なら、とっつきの悪さを感じるかもしれません。しかし、仏教だけでなく、人が営む宗教普遍原理にまで考察がおよんでいることを知れば、死者と面と向かうことで青木新門さんがいかほどまで、いきることを考え貫いたかがわかると思います。
 それでも、もう少し、第一章、二章の充実を願ってしまう僕は、わがままなのでしょうね。

このデジログへのコメント

  • tarashi 2009年02月19日 11:36

    > 蘇芳さん
    いえいえどんどん漁ってください。駄文ですので、いずれ退会と同時に消去されるでしょうから。「おくりびと」の原作といっていいと思います。後半、宗教色が強くなって、ちょっと・・となります。

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