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羽根板

2014年08月13日 05:43

羽根板

お正月でございまして、町内のみーちゃんが、綺麗な着物で、羽つきをおりますと、そこへ町内の悪ガキの与太郎がやってまいりまして。与太郎みーちゃん、今日は着飾って綺麗だね。」みーちゃん「あんたがそんな事言うなんて、何か下心でもあるんでしょ。」与太郎「そんな事ないよ、みーちゃん、なにしているの、わー羽つきか、おいらにも、つかせて。」みーちゃん「イヤよ。」与太郎「そんな事言わないで、つかせてよ、ねえ、つかせてよ。」みーちゃん「あんたなんかにつかせたら、お母さんにおこられるもん。」与太郎「よーし、つかせてくれないなら、こうだ。」なんてんで、与太郎みーちゃんを押し倒して、羽子板を無理やり取ると、力まかせに羽をぽーんとつきますと、羽はすーっと上がって、屋根の雨どいの所へすっと止まってしまいまして、与太郎は、俺知らーねー、なんてんで逃げてしまいます、みーちゃんが泣いていると、そこへ町内のお医者の先生がやってきまして、新年会の帰りかなんかでしょうか、髭の上にビールの泡かなんか乗せまして。医者「どうしたの、みーちゃん、ええ、羽つきの羽が、ああ、雨どいのところに、止まっちゃったのかい、ああ、心配する事はないよ、今ね、このお医者の先生が取ってあげるから。」なんてんで、お医者の先生は、持っていたステッキで、雨どいを叩くと、羽がすーっと落ちてきまして、みーちゃんは、先生ありがとう、なんてんで、おうちへ帰りまして、ここまでは、良かったんですが、このことをみーちゃんが、おうちへ帰ってから、お母さんに話たんですな。みーちゃん「ねぇえ、お母さん、今日ね、あたしが表で遊んでいると、与太郎が来てね、あたしの事、綺麗だ綺麗だって。」お母さん「まあ、いやらしいやつだね、あんなやつ、かまうんじゃないよ。」みーちゃん「うん、あたしもね、あんたがそんな事言うなんて、何か下心でもあるんでしょって言ってやったの。」お母さん「そうだよ、そのくらいの事、言っておやり。」みーちゃん「そうしたらね、与太郎のやつ、あたしにつかせろ、つかせろって言うのよ。」お母さん「まあ、いやらしい、もう盛りが付いているのかね、あんなやつにつかせちゃだめだよ。」みーちゃん「うん、だからもね、あんたなんかにつかせたら、お母さんにおこられるって言ってやったの。」お母さん「そうだよそうだよ、そのくらいの事言わなくちゃ。」みーちゃん「でも、お母さん、女って弱いものね、あたし与太郎に押し倒されて、無理やり、つかれちゃったの。」お母さん「ええ、お前、与太郎に、つかれちゃったのかい。」みーちゃん「それで、運の悪い時ってのは、仕方がないものねえー、一発で止まっちゃったの。」お母さん「ええ、お前、止まっちゃったのかい、まぁ、どうしよう。」みーちゃん「でも、お母さん、安心をして、すぐにお医者の先生が来て、おろしてくれたから。」

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