ゆうりの泡日記－ゆうりの消える日3

泡のバイト最後の日

この日のお客様たちは・・・

出来すぎっていうか

マネージャーが仕組んだんじゃないかって・・・


「今日で終わりなんだって？」

「えっ、はい　今までありがとうございます」

「上京の楽しみがなくなっちゃうね」

「わたしだけが楽しみじゃないでしょ」


そう言いながらも

わたしも少し切ないよ

だって　あなたは　わたしの初恋の人なんだよ


「最後だから　思いっきり楽しんでくださいね」

「うん、そうだね」

いつものようにお口で

浴槽で、椅子、そしてマット

「それじゃ　最後は　お客様のお好きなように」

「うん　じゃあ　」

柴田先輩の手が肩に触れる

そして　キスされて

抱きしめられて　

体を重ねたまま　ゆっくりと倒れこむ

「あっ・・・」

胸に手が触れる

重ねた唇が離れて

あご、首筋、胸へと先輩の唇が

体をすべりおちていく

残されたわたしの唇は

緩みながら　切ない声を漏らす

何十年も前に想い焦がれて

えっちな雑誌とかテレビに興味を持ちながら

嫌なふりして毎日を過ごして

それでも大好きな先輩にキスされて

先輩にだけの子になるのを夢見て

結局は言い出せず・・・

ぬいぐるみと布団を相手に

ひとり慰めてた・・・

まだ　真っ白なわたし・・・

今じゃ真っ白どころか　混沌って感じだけど

何十年もの時間を越えて

わたしの思いは叶った・・・

真っ白なな綺麗な体じゃないけど・・・

そのかわり　体全体で　受け止められる

真っ白なわたしじゃ味あわせてあげられない

主人じゃないけど視点を変えれば

今　先輩を楽しませるために

必要な時間だったと思えるし・・・


「あ、いや・・・」

大きく足を開かれ

先輩の顔が沈み込んでいく

そして体全体に電気が走る

「あっ、ああん・・・」

多分　この悶えるわたしの姿は

男の人の欲を煽り立てる

そして目で楽しませてるのだと思う

それが良くも悪くも

先輩のいない時代で生きてきた

わたしの得た財産

そして先輩にあげられるわたしの財産だと思う


わたしの中で脈打って

そしてわたしの中に・・・

背中に手をまわして抱きつく

「いい・・・もっと　たくさん・・・」


そう　もう会えないんだから・・・

最後なんだから・・・

あなたの気の済むまで

わたしを好きにして

わたしの中に　気のすむまで

吐き出して・・・


ぐったりとする先輩

耳元で先輩の荒い息が

頭の中まで響く

体の重みで息が詰まりそうになる

でも　この荒い息遣いと

重みが心地よくも感じる


不思議な充実感・・・


「個人的に会えないかな？」

「うーん　駄目かな」

「このまま　終わるのは惜しいよ」

「だめですよ」

「どうしてもだめかな？」

「だめですよ　柴田先輩」

「えっ？」

「ん？　どうかしました？」

「いや　今　なんか　変な感じが」

「どんな？」

「なんか　いや　言いようのない　なんか　うーん」

「わからないことはわからなくていいじゃないですか」

「そう？　でも　なんだろう　この感じ」


わかるわけないよね

わたしのこと　これっぽっちも覚えてないんだものね

首を傾げながら帰っていく柴田先輩


さようなら　初恋の人


数回だったけど

嬉しかったし　切なかったし

気持ちもよかったし


わたしも頑張るから

先輩も頑張ってね


まずは一人目完了

次は・・・

次もある意味困る相手だ・・・

最終日　2人目は・・・

　　　　　　　　　　　　　・・・前彼