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恵理香 11-3千円

2011年01月14日 22:30

恵理香 11-3千円

「恵理香って呼んでよ」
「さっきからそう呼んでる」
「そっか。寝よ」
「明日から仕事だもんな」
「そう」
「連れて行ってやる」
「一人で行けるよ」
「連れて行く!!」
「・・・うん」


恵理香は泪が出て来ると、慌てて羽毛を掛け京介に体を寄せた。
京介にとって、女の体を抱きながら寝るのは初めて。
何でこんなに女の体は温かいんだ?
また、初めてが一つ増えた。


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彼女よく動きますよ」
男が5時前に女を店へ迎に行くと、店長が紫野にそう言った。
「そう?電話の受け答えからみんな教えてやってくれ」
「いえ、電話は教える必要なんてありません。上手いものです」
「頭がいいから覚えが早いです」

確かに馬鹿ではないと俺は思い出していた。
「使い物になりそうか?」
「ええ、前の子より遥に」
正社員に出来そうか?」
「人事の課長ファックスを送り、先ほど返事も貰っています」
「そうか」

「すぐに保険年金証書も出ますが、履歴書を見て夜学高校卒業させろと」
高卒給与になっています」
「今週中に編入させる」
「僕が責任を持って仕込みます。主任には世話になっていますから」


別に特別なことをした訳では無かった。
俺の下で働いていた時、先輩を退け店長に推薦しただけ。
「主任の恋人なんでしょう?」
店長の田中は嬉しかった。
こんないい人に彼女が居ないのが不思議だった。

「ああ」
田舎が主任と一緒ですね。任せてください」
「うん、頼む」


紫野の勤める会社は卸と小売、それに輸入もする食品専門商社だった。
日本の1・2を争う大手商社の兄弟会社で、東証一部に上場している。
大きな総合スーパーでは無く、食品のみを扱う規模の小さな店が全国に500店舗以上あった。
その小売部門の店長に田中を推薦し、女をそこに預けたのだった。
田中学歴こそ無かったが、仕事が出来た。
高卒で入社し、25歳の店長は他には居ない。

その紫野、この春に係長になるのが決っている。
女はまるっきり駄目な男だったが、仕事は田中に負けず出来た。


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