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禁断の恋(最終第4話)

2009年07月17日 10:22

<前日までの続きです>

帰りのタクシーで。
一部始終を見ていた運転手さんが「いい子ですねぇ」と感慨深げに話しかけてくる。嫌味を言っているようには聞こえない。どこに反応したんだろうか?しかし、優しい運転手さんだ。あの光景を見て嫌な顔をしないで走ってくれている。感謝。

帰り道を半分くらい過ぎた頃、さと子からの着信。彼女からかかってくるのは珍しい。しかも、僕は帰宅途中だ。

「もしもし、高山さん?」

もしかして、泣いてる?

「やっぱりこうなっちゃったよ。奥さんのところに帰るのを見送るのが嫌なの!」
「ごめんな、さと子」

酔っているので、自分でブレーキがかけられないようだ。

「私、どうすればいいの?このまま週末、一人でいろってことなの?まだ土曜日になったばっかりだよ。このままずっと泣いてるのは嫌だ。でも、何してればいいの。何してたってずっと考えちゃうよ。高山さんは奥さんと一緒にいれば忘れられるからいいよね。こんなこと言ってる自分が嫌だ。もう、、、(泣き声)」

家の前に着きそうになったので、手前で降ろしてもらう。
このまま1時間、延々と同じ話を繰り返す。

「ゴメン、もう家に着くんでしょ。おやすみ。」
「おやすみ、さと子」

切ない気持ち。一方的に負担をかけている罪悪感。その一方で、離れられない感情。

翌週、職場で会議から自分の席に戻ると、さと子の姿が。
僕の部下の子と話をしている。

高山さん」
「何?珍しいね、西山さんがここにくるなんて。初めてじゃない?」
「解散会の企画を西山さんが担当しているので、私も手伝ってるんです。うちの部署からも手伝いが要るそうなので」
「そっかわかったよ。よろしくね。二人とも頑張って!」

今、僕は普通に対応できたのだろうか?部下の子は特に不自然さを感じてなさそうだが。しかし、さと子は全く普通だった。女の精神状態というのは読み切れない。僕に何かメッセージを発することもなかった。

翌週、僕はその職場を離れた。そしてすぐに2週間、アメリカへ。
空港で時間があったのでメッセンジャーを立ち上げるとさと子がオンラインだった。
メッセージを送る。

仕事中?」
「あ、高山さん。今、空港ですか?」
「そうそう、元気かなと思って」
「まあ、元気ではないですけど。。。普通にはしてます。」
「あんまり時間ないから、突っ込んで話すのやめようか。」
「はい」
「向こうについたら連絡するよ」
「待ってます。あ、待ってませんけど」

アメリカではかなり日程がきつく、夜まで仕事が続く。
しかし、東海岸なので、日本の業務時間は深夜だ。さすがに仕事は終わっている。
メッセンジャーにさと子が現れる。

「おはよう」
「おはようございます。あ、こんばんは、ですね。今日は暇なんです」

久しぶりにゆっくり話せるようだ。
軽い冗談を言い合ってから本題へ。

「さと子、やっぱり君は僕にとって特別な存在だ。だから、幸せになってもらいたい。ちゃんとした恋愛するんだよ。」
「私、年下のカワイイ子を見つけて、ちゃんと付き合う
「それは無理だよ。君は年下じゃ自分を出せないから、窮屈だ。付き合うつもりだったら、年上の相手探さなきゃ」
年上のいい男はみんな結婚してる。無理だよ」
「だからちゃんと探せって。君の魅力なら見つかるから」
「嫌だ。私幸せになんかなれない。高山さんと別れたら誰とも付き合わないもん」
「僕だって、君が愛おしい。だから幸せになって欲しいんだ」
「私、今、号泣してるよ。涙も拭いてないし、お化粧落ちちゃう。パソコン前にして、おかしいよね」

日を改めて何回もチャットしたが、いつも同じような話。

日本に帰ると、ランチを約束。まだ職場が変わっていないさと子に合わせて昔の職場近くへ。
さと子は、男らしい体が好きだ。アメリカでは暇さえあればジムに行ったので、目に見えて筋肉がついていたようだ。

「久しぶりに会ったら、前より逞しくなったね。ねえ、触ってもいい?」

と言って胸の辺りを触る。
頭では「おい、それをやめろって。動揺するだろ」と思うが、気を引くために筋肉をつけてるのだから、本心では触って欲しいに決まっている。

昼間なので、当たり障りのない話をする。
お互い、本題に入るのは怖い。

食べ終わって、彼女職場近くまで送る。
裏道を歩きながら、腕を組む。

「ねえ、誰かに見られたらどうするの?どうして高山さんがいるのって」
「この道は誰も歩かないよ」
「そういう問題?しかも腕まで組んで」

会社に着く直前、さと子を木陰に引き寄せる。

「どうしたの、えっ」

抱き寄せてキスする。さと子は抵抗しない。
彼女の方から舌を入れてくる。久しぶりだ。お互い我慢していたものが一気に弾け飛ぶ。夏本番を迎えつつある6月中旬の1時頃。強い太陽が照るなか、そんなことはお構いなしで二人はお互いの気持ちをぶつける。

「あっ」

もっと深く入れてと全身で言っている。こっちもそれに応えるようにもっと深く突っ込む。舌の絡む感覚。お互いの全身の神経が集中し、先端で、奥でお互いを確かめ合う。
抱き寄せている腕の力を強めるとさと子の手がこれ以上ないくらい硬くなった股間に伸びる。彼女もビショビショだろう。お互い今すぐに入れられる状態だ。でも、今、先に進んだらこの一ヶ月の葛藤が無になる。
ふと、会うのは今日が最後になるかもしれないという予感が閃く。


「もう仕事始まってるよ。さと子、そのままじゃ席に戻れないよ」
「うん、わかった。一応、リップは直せるように持ってきたから大丈夫
「じゃあね。午後も仕事、頑張ろうね」
「うん」

その翌週、僕は仕事で遠くへ行くことに決まった。
帰ってくるのは週末のみ。週末は家に帰る。さと子と会う時間がなくなった。
さと子に電話する。

「そっか。神様の思いやりだね」
「そうかもね」
「もう、電話するのも止めた方がいいよね。私、着信してもとらないよ」

さと子の意志は固そうだ。僕が気持ちの整理をつけないと。
その電話を最後に、本当に僕たちは別れた。
僕の気持ちの整理がつくのはいつになるだろうか。

<最後まで読んでいただいた方、ありがとうございましたm(__)m>

このウラログへのコメント

  • まさ 2009年07月17日 13:30

    >朔さん、
    ありがとうございます。不倫は誠実じゃなくなった瞬間に自分のプライドか、人生の基盤かのどちらかを失うと思うんです。
    て、何度も違う人と同じ辛さを繰り返してますが。。。

  • まさ 2009年07月17日 14:04

    >白雪さん、
    よろしくお願いしますね^^

  • まさ 2009年07月21日 07:40

    >ちゅあさん、
    辛ければ辛いほど燃えるっていうのもありますよね^^
    だったらやめろって感じですが、また同じことをしてしまう愚かさ・・・

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