- 名前
- nomiya8
- 性別
- ♂
- 年齢
- 80歳
- 住所
- 埼玉
- 自己紹介
- 気持も若い積りだし、身体もそうだと思ってましたが先日忘年会でボーリングをした時、運動...
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今何処(いずこ)-AB編-3/3A
2007年11月23日 11:04
やはり彼女が何時も傍に居た事が、こんなにも私を元気付けていた事を今更の様に実感として胸に込み上げてきた。
昨夜も帰宅途中何度も何度も同じ様な思いを巡らせていた。
”何故格好をつけづにもっと必要に引き止めなかったのだろうか”
マネージャーから「募集して代わりの女性を採用したら」と言われたが
中々直ぐにその気にはなれず、「少し時間を下さい」と答えを保留した。
数日後時々の外出や、手紙の作成の事もあり秘書を置く事を決めたが、ビジネスの方にも女性が余っていたので、そこの一人を呼ぶ事にした。
余り普段は会話もしたことがないのでどの程度英語に精通しているかは解らなかったが、彼女の名前はDで既婚し子供も居る。
私の所に来て直ぐにメーカーへ手紙を出す事があり、Dに主旨を話し手紙を作成する様に頼むと「タイプアウトは出来るけれど手紙は書けないので貴方がドラフトを作ってください」と言われた。
少し押し問答をしたが結局私がドラフトを造る事になってしまった。
日本語でさえ公式な手紙など殆ど書いた事が無いのに、しかも英文で書くのは初めての事で四苦八苦してドラフトを書いた。
今までもそうだがその様な書面は必ずマネージャーのチェックを経て出されていた。
暫くするとマネージャーから呼ばれ「Mr.M、私には何とか言いたい事は解るが、このままではメーカーへ出せない。私の秘書のEは英語が上手だから彼女に教えてもらえば」と言われてしまった。
Eは前回の私の赴任時から居る女性で確かに英語は上手なのは解っているが、教わる事に抵抗があり辞退した。
その日の帰り日本書を扱っている本屋へ行き”上手な英文の書き方”なる本を購入、帰宅後早速読んで何度も手紙を書いてみた。
翌日その本と辞書を片手にやっとの思い出ドラフトを作りタイプさせた。
その日は又何時マネージャーから呼ばれるかとヒヤヒヤしてたが何とか通過した様だった。
彼女が辞めてから一ヶ月程した頃、漸く手紙を書くことに対する苦痛も薄れ、彼女に対する思いも薄らいだ頃、突然電話が掛かってきた。
受話器をとると「Mr.M 元気ですか?」
私は一瞬耳を疑ったが、紛れも無く聞き覚えのある彼女の声だった。
「A?」
「はい、元気ですか」
「ああっびっくりした。今何処にいるの? 家から?」
「そうよ」
「仕事していないの」
「うんん、ずっと家に居ました」
「うん、懐かしいな、何時か会いたいな」
「うん、私も会いたい」
「じゃ何時会おうか」
「何時でも良いです」
「今日は大丈夫?」
「良いです」
「じゃ何処で会おうか・・・、香港ホテルの一階にバーがある けどそこでいいかい? そうだね時間はここが終わって直 ぐに行くから5時半でいい?」
「はい解りました、じゃ後で」
それで電話は切れたが、私は飛び上がらんばかりで冷静さを保つのに苦労した。
その後私は何をしていたか全く記憶が無いが、時間の経過をこれ程遅く感じた事は無かった様に記憶している。
会社からそのホテルまでは10分も掛からない。
部下の殆どは外に出ていて、ぼちぼち帰社し始めてはいたが全員が帰社するのは5時を過ぎてからなので、5時になったからといって直ぐには帰れなかった。一応習慣的に各自からその日の経過の報告があるから。
でもその日は5時15分位になって「一寸今日は用があるのでこれで帰るから」と私の右腕になっている部下に託して会社を後にし歩を早めホテルに向かった。
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