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月見れば〜

2024年09月12日 04:55

月見れば〜

清英の本日の書作品は
月見れば千々に物こそ悲しけれ我が身一つの秋にはあらねど
現代語訳
月を見ると、あれこれきりもなく物事が悲しく思われる。私一人だけに訪れた秋ではないのだけれど。
ことば

【月みれば】
「月を見ると」という意味。「みれば」は確定条件を表します。
 
【ちぢにものこそ悲しけれ】
「ちぢ(千々)に」は「さまざまに」だとか「際限なく」という意味で、下の句の「一つ」と対をなす言葉です。「もの」は「自分をとりまくさまざまな物事」ということです。「悲しけれ」は係助詞「こそ」を結ぶ形容詞已然形です。
 
【わが身一つの】
「私一人だけの」という意味で、本来なら「一人の」ですが、上の句の「千々に」と照応させるために、「ひとつ」になっています。
 
【秋にはあらねど】
秋ではないけれども、という意味。上の句と下の句で倒置法が使われています。「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形で、「ど」は逆接の接続助詞です。
作者

大江千里(おおえのちさと。生没年不明)
9~10世紀初頭にかけて生きた人だと言われ、大江音人(おとんど)の子で在原業平、行平の甥になります。家集に「句題和歌」があります。中務少丞(なかつかさしょうじょう)や兵部大丞(ひょうぶだいじょう)などを歴任し、伊予国(現在の愛媛県)の権守(ごんのかみ)となったり、罪によって蟄居させられたこともあったそうです。

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