- 名前
- イチゴちゃん
- 性別
- ♀
- 年齢
- 43歳
- 住所
- 茨城
- 自己紹介
- 毎日元気に働いてます ゆっくりだけど、はっきり喋ります^^ 嫌がらせを受けていたの...
JavaScriptを有効にすると、デジカフェをより快適にご利用できます。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしてからご利用ください。
命尽きるときまで~その1
2019年04月26日 13:58
私「どこの病院に入院されてますか?」
メールしてみました
2分ほどで返信があり
田中さん「入院してません、自宅で終末を迎えたいんです」
私「おうちにお邪魔していいですか?」
田中さん「失礼ですがイギリスにいるのでは?」
私「今、羽田空港に降り立ってホテルにいます。」
田中さん「本当ですか!自宅は○○ー○○です。お待ちしております」
そう会話して、電車に乗り茨城へ
1時間と少々ののち、最寄り駅へ到着
タクシーに乗り、田中さんのおうちまで
閑静な住宅街の一角に、田中さんのおうちがあり
チャイムを押すと、玄関で迎えてくれたのは田中さんご本人
田中さん「ようこそ!!さあ、おあがり下さい」
挨拶もそこそこに、とりあえずおうちの中へ
田中さん「突然の訪問で驚いてます・・・まさか、いらっしゃるなんて思わなくて」
私「最後ですからね」
田中さん「・・・!?いやぁ・・・イチゴさんは何というか・・・直球ですね。それがまた、魅力的と言いますか・・・
感謝してます」
アン「おじさん、お久しぶりね!」
田中さん「アンさん!お久しぶりです。私の事を覚えてくれてるんですか?」
アン「もちろん!お寿司ごちそうしてくれたことも、ちゃ~んと覚えてる」
田中さん「いやぁ・・・こんなに背が伸びちゃって。お嬢ちゃんだったのに、今は大人ですね」
リリー「はじめまして。私はリリーと言います。去年からママにお世話になっていて・・・」
田中さん「ええ、ええ。日記で存じてますよ。あなたが・・・。イチゴさんはとてもあなたたちを愛してるのがよーく伝わってくるんです。日記にね、いつもあなたたちとのやり取りを綴っていてね。いや、ありがとうございます」
田中さん「あのですね、もうお母さんから2人は聞いてるかもしれませんが」
アン「ガンなんでしょ?」
田中さん「え?はい、そうなんです」
リリー「あと2月(ふたつき)だって母から聞きました」
田中さん「・・・こんなに日本語が話せるんですか!?」
リリー「ええ!必死に勉強しましたから」
アン「何をママにお願いしたかも知ってるから」
田中さん「・・・申し訳ありません」
私「何で謝るんですか?人生の最後に、どうしてもって思ったから言ってきたんでしょ?」
田中「はい、い、いや!あの・・・申し訳ありませんでした」
私「見せるわけにはいかないんですよ。それは分かってもらえます?」
田中さん「・・・はい。浅はかな考えでした」
私「いいんですよ。今日は、かつてのお礼のために来たんです」
リリー「アンとね、話したんです」
アン「ママ、私に言わせて」
私「はい、どうぞ」
アン「ありがとうママ。おじさん、あのね」
田中さん「はい?」
アン「おじさん、お寿司をごちそうしてくれてありがとう。あの時ね、まだ私が日本に慣れてなかったのもあって
あまりおじさんにお礼を言えなかったこと、ずっと後悔してたの」
田中さん「そんな!覚えてくれてただけで、私は嬉しくて・・・」
アン「それでね、ママに話は全部聞いたの!おじさんの病気のことも、おじさんが奥さんを捨てた事も」
田中さん「・・・私が捨てられたんですよ?」
アン「それが間違い!おじさんが病気になったのいつなの?」
田中さん「今年の初め、です」
アン「おじさんの奥さん、正確には元、ね。別れたのは?」
田中さん「い、いやぁ・・・」
私「すみません、性格がストレートなもので。アン!多少は・・・」
アン「オブラートに包め!って言うんでしょ?そんなんじゃないの、おじさんが捨てられたってとこが、私には納得いかないの」
田中さん「どうしてです?」
アン「おじさんが”ガンになった、余命いくばくだ”って奥さんに伝えたんでしょ?」
田中さん「ええ」
アン「で、奥さんは離婚したいって言ってきた」
田中さん「はい」
アン「で、財産を要求されたんでしょ?財産の半分とか支払ったの?」
田中さん「・・・はい」
アン「じゃあ、やっぱりおじさんが捨てられたのは間違い!だってお金の面で施しをしてるじゃん。捨てられたのは元奥さん。元、ね!」
田中さん「・・・そう言われれば」
田中さん「そうですよ!向こうは病気になった私の面倒を見たくない!!って離婚を切り出したんです。
じゃあ、別れるかって私は応じた。うん、財産だって分けた。そうか、私が捨てたんですね!!アンさん、意味がわかりました」
アン「ね?おじさんは捨てられた立場じゃないの!捨てた立場。哀れなのはおじさんじゃなく、お金を貰って満足した、おじさんの元奥さんの方!!」
リリー「アンがず~っと、そればっかり言って怒ってたんですよ。”病気になった旦那さんと別れるって、何てクソ女なの!?私がケツを蹴り上げて~~~”って」
田中さん「・・・そうだったんですか!?・・・ありがとうございます」
アン「おじさん、いつも丁寧だけど、私だけタメ口でいいの?」
田中さん「ええ、ええ。アンさんはアンさんの話し方でいてください」
私「すみません!いっつもこの子、自分が親しいと思った人には遠慮しなくて」
田中さん「じゃあ、光栄なことじゃないですか!私は親しいって認定されたんですね?」
アン「もちろん!!おじさんはママにも私にも優しいもの。リリーにももちろん優しくしてくれるでしょ?」
田中さん「ええ。リリーさん、リリーさんも話しやすい日本語で話してください」
リリー「・・・いいんですか?」
私「リリー、あなたは少~し遠慮・・・」
田中さん「イチゴさん、イチゴさんも気兼ねしないで下さい。私はこれが普通なんです。みんなに気遣いなく好きに話してもらったほうが
私は・・・嬉しいですから」
私「本当ですか?」
田中さん「嘘じゃないですよ」
私「じゃあリリー、お言葉に甘えよっか?」
リリー「ありがとうおじさん!実は・・・敬語ってまだ勉強してる途中なの!!」
田中さん「どうぞ、どうぞ」
アン「おじさん、ものすご~く痩せちゃったね」
田中さん「はい・・・ガンってわかってから35キロほどですかね。自然と細くなりました」
アン「ご飯食べてる?」
田中さん「食べてはいるんですが、あまり多く食べられなくて」
アン「今日はね、私たちが作ってあげる!ね、いいでしょ?」
田中さん「ええ??いいんですか?」
私「はい。そのつもりでさっき、スーパーで材料も買ってきたんです」
田中さん「それは・・・嬉しいなぁ・・・いいのかな」
リリー「おじさん、嬉しい?」
田中さん「そりゃもう!!」
私「じゃあ、キッチンお借りしてもいいですか?」
田中さん「ええ、どうぞどうぞ!!」
私「じゃあ、2人ともお願いね」
リリー&アン「了解!!」
私「じゃあ、田中さん。ちょっと失礼しますね」
裏に続きます。
このデジログへのコメント
凄い話の展開でビックリだけど、田中さん喜んでる姿が目に浮かぶね
コメントを書く