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まつたけ

2014年08月09日 00:21

まつたけ

♪秋も深まる頃・・ポツンと枝に残った柿の実が、隣に並んだ栗の実に、 柿「お前さまはいいよなァ・・うらやましい」
栗『どうして?』柿「どうしてって、そうじゃねェか・・おめえは、まず一番下に渋皮だろ・・
その上に固い皮があって、そいからイガのコートを着ておるじゃろ う・・なア・・三枚もの厚い衣に包まれて、果報なお方じゃ。
私などは、身につけるものといえば、ただのうすッ皮一枚。
寒さが深まるにつれて、赤い顔して必死に力んでおらねばならぬ・・」と、涙ながらに我が身の不運をかこつ。 栗『何言ってんだい・・このカキゃァ!
つやつやしたいい血色してやが
って・・私なんざ・・皮むいてみろ・・寒さに青白くふるえてンだ・・』 柿「何だとォあまぐり野郎・・目の玉クリぬくぞ!」栗『来るか・・このカキィ!
カキむしるぞ』 てんで、喧嘩になってしまった。
柿がまっ赤になって毒づけば、栗も負けずにイガを逆立てましてネ・・『野郎!』「チクショウ!」とやり逢ってっいるのを、松の根本松茸が顔を出して・・
「チェッ!
うるせえやつらだなァ・・昼寝もロクスッポできやしねえや・・ おい!柿に栗! おめえたち、気は確かか・・ みろ!
あそこアケビが笑ってらア・・上を見りゃァ きりがない。 一重でも身に着けるものがあれば、ありがたいと思わなくちゃ・・
この俺を見ろ・・この寒いのに、ふんどしさえもしておらぬ 」

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