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「けしゴム」のようなやさしい詩人

2014年04月30日 23:51

「けしゴム」のようなやさしい詩人まどみちおさん~

童謡「ぞうさん」や「一ねんせいになったら」で有名な詩人まどみちおさんが今年2月、104歳でお亡くりになりました。
まどみちおさんの詩には、大人の心にも響く味わい深さがあります。
作品を2つほどご紹介しましょう。

[ぞうさん]
どみちお

ぞうさん
ぞうさん
おはなが ながいのね
そうよ
かあさんも ながいのよ
ぞうさん
ぞうさん
だあれが すきなの
あのね
かあさんが すきなのよ


この童謡、だれもが歌ったことがあるかと思います。
明るい気持ちになれるいい歌ですね。
でも、ちょっと考えてみると「お鼻が長いのね」という言葉は、(悪意はないにしても)受け止め方によっては、悪口になる言葉です。
もしも、ぞうの子が「どうして、ぼくの鼻だけこんなに長いんだろう。なんで、ライオンさんみたいにかっこよくなくてなんで、ウサギさんみたいにかわいくないんだろう・・・」
などとコンプレックスをもっていたら傷つく言葉になります。
でも、ぞうの子は腹を立てるのでもなく、がっかりするのでもありません。
むしろ、大好きな「母さんも長いのよ」と、誇りを持って答えています。
自分がぞうとして生まれたこと、ぞうとして生きていることが、うれしく、すばらしいと思っているのです。
ですから私たちも、この歌を歌うと自分が自分として生まれたこと、自分として生きていることは、すばらしいことなんだと気づかされるのです。
もう一つ、
まどみちおさんに、「けしゴム」という詩があります。
これも、とても味わい深い詩です。


[けしゴム]
まどみちお

自分が 書きちがえたのでもないがいそいそと けす
自分が書いた ウソでもないがいそいそと けす
自分がよごした よごれでもないがいそいそと けす
そして けすたびにけっきょく
自分がちびていってきえて なくなってしまう
いそいそと いそいそと 正しいと 思ったことだけを
ほんとうと 思ったことだけを
美しいと 思ったことだけを
自分のかわりのように のこしておいて
誰だって失敗したり、うっかりしたりする。
そんな人の失敗を、そっと消せる人になりたいな。


まどみちおさんは、
けしゴムに、やさしさを見出す人だったのです。
人の失敗を
自分を磨り減らしながら消していくやさしさ。
人の失敗といっしょに自分も消えていきながら、正しいこと、本当のこと、美しいことを残していくやさしさ。
まどみちおさんは、
そんなけしゴムみたいなやさしさをもつ詩人だったのではないでしょうか。
だから、「ぞうさん」のような素晴しい詩をたくさん残せたのだと思います。


★きっとよくなるヒント★
人の失敗を、そっと消せる人になる

このデジログへのコメント

  • SYUZO- 2014年05月01日 00:42

    消しゴム、いいです

    ぞうさんも、その意に気づきませんでした

    ぞうさんもいいです
    (  ̄▽ ̄)

  • なな♪ 2014年05月01日 23:53

    SYUZO-さん:この歌を知ったばかりの頃はなんとなく歌うだけでしたもんね

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