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一人でも応援してくれる人がいれば

2012年06月18日 23:29

一人でも応援してくれる人がいれば

萩本欽一氏の心に響く言葉より


東洋劇場に入って3ヶ月目に、恩人の緑川士郎先生に呼ばれてこう言われたんだ。

「あのねぇ、欽ちゃん。3ヶ月経っても、全くコメディアンの感じがしてこない。このままこの仕事をやってると、えらいことになってしまうかも。だからね、今のうちに辞めた方がいいんじゃないかな。はっきり言って欽ちゃんコメディアンには向いていないと思う」

聞きながら、胸をぐさりと刺されるような感じがしたな。

でもね、言われている通りなんだよ。

舞台に出ても上がってしまって台詞も言えない。

踊りはダメ、笑いもできないの、ないないづくしなんだからね。

「分かりました。自分でも無理のような気がします。今月いっぱいで辞めることにします」

思わずそう、口にしていたな。

先生の前から下がって、二階の誰もいない楽屋に行き、短い間だったけれどお世話になりましたって、誰に言うともなく頭を下げていた。

胸の中が空っぽで、息をするのもうまくできない。

「どうしたんだよキン坊、何をしょげているんだ?」

ふと気付くと、すぐ側に、池信一師匠が立っていた。

「すいません、辞めることになりました。さっき、演出家の先生に[コメディアンには向いていないから辞めた方がいい]って言われて、はい分かりましたって返事しちゃったんです」

「えっ!?3ヶ月しかやらないで、もう結論を出したのか?お前自身の気持ちはどうなんだ?やりたいのか、やりたくないのか?」

「できたらもうちょっと…もう少しやってみてから決めたいと思うんですけど…」

「そうか、本当は、お前、まだ辞めたくないんだな?」

「…ええ…」

「よし、ここで待ってろよ!」

師匠はそう言って、パーッと何処かに走って行き、5分もしないうちに戻って来て
「キン坊、続けてろ!」

そう言って、すぐにいなくなっちゃった。

なぜ辞めなくてもいいことになったのか、後で緑川先生が教えてくれたな。

「お前の師匠が来て言ったよ。あいつは不器用で気が小さいし、面白くもないし才能もないかもしれない。けれど、今時あんなにいい返事をする子はいない。あの返事だけでここにおいてやってくれってな」

「はいーっ!」っていう返事は、高校時代アルバイト先で身に付いたんだ。

ラーメン一丁!」

「はいーっ」

「出前頼むよー!」

「はいーっ」

ってね。

何でも、一生懸命やっておくもんだね!

苦労が、どんな所で役に立つかわからない。

師匠の話をしてくれた後、緑川先生はこう言ってくれたんだ。

「この世界で大事なのは、上手い下手じゃない。お前のようなダメな奴を、辞めさせないでといってくれる人がいることが大事なんだ。一人でも応援してくれる人がいれば、やっていける。ずっとやってろ、一生、辞めるんじゃないぞ!」

涙が止まらなかった。

心の底から泣けちゃったな。

欽ちゃんの ダメをやって運をつかもう!!』DHC文化事業部


全ての人に否定されたとしても、たった一人認めてくれる人がいるだけで、その人間は夢を捨てずに頑張ることができる。
発明王エジソン小学校では全く認められず、ついには落第したが、たった一人、その母親だけが彼の才能を認め、伸ばしてくれた。
幕末の英雄、坂本龍馬寺子屋では落第生で、字もロクにかけず、寝小便ばかりしてメソメソ泣いていたというけど、たった一人、母親代わりの乙女姉さんがその才能を認め、教育もしたからこそ歴史に名を残す風雲児になった。
欽ちゃんコメディアンになるきっかけを与えてくれたのも、欽ちゃんを初めて認めてくれた中学校の先生だったとか。
どんなにダメな人間でも、何か一ついい所があれば(本人が気づいてない事もあるね)、それを認め、誉め、そして応援する。
年長者やリーダー、最も心掛けなければならない資質がこれ。
逆境や苦難の時こそ、誰かのよき応援者でありたいなって思う

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