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終わりよければすべてよし

2011年11月10日 18:24

イエスは瀕死の賴病者、今でいうハンセン病だな、を静かに微笑みながら手を握りしめるだけだった。賴病者は静かに涙を浮かべて息を引き取った。

イエスはなにもしていない、タダ手を握りしめて微笑んだだけだ。

一握りのパンも与えていないし、カネも与えていない。

人生の幕引きのとき、あなたは一人でない、孤独でない、それが手を握ることの意味だ。

別にキリストでなくてもいいが、人生の終わりに誰か手を握ってくれる人がいれば、その人の人生は、終わりよし、だろ。

イエスに手を握られたら賴病者は、生まれてこの方、貧乏で、あるいは家族不和で、何一ついいことがなかったかもしれない。しかし、死に臨んで、人に手を握られたことで涙が出た。別にイエスでなくてもいいのだ。

しかし、昔、今でもそうかもしれないが、賴病者は世間から忌避されていたのだ、誰も近寄らない。

餓死寸前で路上に倒れている老人を、マザーテレサは手を握ってやる。ただただ、握ってやる。老人は涙を浮かべて死んだ。

賴病者も老人も、今までさんざん生きていて何もいいことはなかったが、一番最後の最期でしあわせになった、と思う。

終わりよければすべてよし。


孤独死残酷だナ。今日もあった。


オレも見知らぬ女の手を握りたいな。

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