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深呼吸3回してからお読み下さい。

「顔の傷」

深呼吸を3回してからお読み下さい

私は母の顔が凄く嫌いでした。
なぜなら大きな火傷の跡があるからです。
よそのお母さんはあんなに綺麗なのに何で私のお母さんは…とか、
何でこの人が母親なんだろう
とさえ思ったことがありました。
そんなある日のこと。
その日の四時間目に、私はある事に気づきました。
夕べ徹夜で仕上げた家庭科の課題が手元に無いのです。
どうやら家に置いてきてしまったようです。
あたふたして勉強も手につきません。
家庭科の授業は五時間目。
私は昼休みに自宅まで取りに帰る事を決心しました。
四時間目も終わり帰る準備をしていたところ、クラスメートが、○○(名前)～、○○～、お母さん来てるよ、と言いました。
私はハッとしました。
急いで廊下に出てみると、なんと、母が忘れた課題を学校まで届けに来ていたのです。
「なんで学校にきてるのよ！取りに帰ろうと思ってたのに！」と息を立てて問い詰めると、
『でも、○○ちゃん夕べ頑張ってやってたから…』といいました。
私は「おばけみたいな顔して学校来ないでよ、バカ！」
と言って母から課題をひったくる様に取り上げるとスタスタと教室に入っていきました。
自分の母親があんな顔をしている事を友人達に知られてしまった事で、私は顔から火が出る思いでした。
その日の夕飯後の事。
私は父親に呼ばれました。
昼間の事で怒られるのだろうな…と思いました。
すると父親は予想に反してこんな話を始めました。
お前がまだ生まれて数ヶ月の頃隣の家で火事があってな。
その火が燃え広がって、うちの家まで火事になった事があったんだよ。
その時に2階で寝ていたお前を助けようと、母さんが煙に巻かれながらも火の中に飛び込んでいった時に顔に火傷を負ってしまったんだよ。
今お前の顔が綺麗なのは、
母さんが火の中に飛び込んでいってお前を助けたからだよ。
私はそんな事は初めて聞きました。
そういえば今まで火傷の理由を母から聞いても、あやふやな答えしか返ってきた事はありませんでした。
「何で今まで黙ってたの？」
私は涙ながらに母親に聞くと、
『○○ちゃんが気にすると思ってずっと黙ってようと思ってたんだけど…』
といいました。

私は母への感謝の気持ちと、
今まで自分が母親に取ってきた態度への後悔の念とで、
胸が張り裂けそうになり、
お母さ～んと言って母の膝の上でずっと泣いていました。
今では自分の母の顔のことが誇りにさえ思えるようになりました。
家族を私を守ってくれた母のこの顔の傷のことを…。

「親を愛する者は人を悪(にく)まず、
親を敬する者は人に慢(あなど)らず」

by 「孝経」（こうきょう、中国古代の孝道について孔子と曾子(そうし)が交わした問答）

今日の話が皆様のお役に立てれば嬉しいです


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