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いぬとひと-2

2009年06月21日 00:09

いぬとひと-2

晩年のタローは一日中、職員室で寝ていた。
しかし、時間になると起き上がり学校を出て行った。
駅通いは動けなくなるまで続いたというから、最後まで「主人」が現れることはなかったのだろう。
「その犬は多分、45年前に迷子になった愛犬コロです」

行方市住宅設備会社を営む成島亮子さん(50)から連絡があった。
コロは63年に生後4カ月で家にやってきた。
当時、成島さんは5歳。
自宅から200メートルの鹿島鉄道(07年に廃線)玉造町駅で電車に乗り、幼稚園のある11駅目の石岡駅へ通っていた。
玉造町駅への送迎は、家業陶磁器店で忙しい両親に代わってコロがしてくれた。

毎朝、一緒に電車に乗り込んできた。
成島さんが座席に着いて頭をなでてやると、電車を降りて引き返していった。
帰りは駅の待合所で待っていた。
翌64年のある朝、頭をなで忘れたのか、コロは電車を降りずに石岡駅まで付いてきてしまう。

お嬢ちゃんの犬?」と、改札口で駅員に聞かれた。
犬を乗せたことを怒られると思って首を振った。
コロは追い払われた。
それが最後になった。

ショックで熱を出し、10日間寝込んだ。
父の良昌さん(85)は石岡駅周辺へ6回も捜しに行った。
コロは教室をのぞきに3度、幼稚園に現れた。
だが、園が捕捉しそこねてしまい、その後の消息はつかめずにいた。

その年、1匹の犬が石岡東小に迷い込む。
しばらくして、朝夕の石岡駅通いを始めた。
一方、成島さんは翌年に卒園すると、石岡駅を使うこともなくなり、その犬を見ていない。
茶色いオスの雑種、垂れた耳、剛毛。
それに同小創立50周年記念誌に載った犬の写真

「タロー」と呼ばれたその犬こそ、コロに間違いないと、成島さんと両親は確信している。
コロは81年の夏に死ぬまで石岡駅に通い続けた。
ずっと自分を捜していたと思うと、胸が痛む。
「あの時、駅員にウソさえつかなければ」。
45年間抱き続けてきた自責の念にさいなまれる。
もっと捜せばよかったと、改めて思う。
「でも、コロがみんなに愛されていたとわかり、救われる思いがします」

12年前の誕生日に、三つ上の姉から贈られた手作り絵本を宝物にしている。
題名は「コロ」。
傷心の妹を慰めるためだった。
絵本を開くたびに涙がでる。
最後のページに、こう書かれているからだ。
「ゆめでもあいたいと、コロはきょうも駅にいます」
・・・・・・・(朝日新聞 6/19)


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https://www.youtube.com/watch?v=L7bp4CN14lc

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