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アメリカン・ノック
2009年02月04日 08:08
復活期す今岡 気迫のアメリカンノック
デイリースポーツ - 2009/2/3 9:40
アメリカンノックを受けた阪神・今岡は大の字になって寝転がる=宜野座
阪神・今岡誠内野手(34)が2日、午前中に行われたアメリカンノックで懸命にボールを追いかけた。ここ3年の不振から、定位置は確約されていない。開幕1軍すらも絶対に安泰とは言えないが、だからこそ必死で打球に飛びついた。これまで、がむしゃらさとは無縁だった天才打者が、野球人生初の泥くささを前面に押し出して復活を狙う。
◇ ◇
もう足は動いていなかった。走り終えると芝生の上に倒れ込んだ。それでもまた立ち上がり、動かぬ足で一心不乱にボールを追った今岡。なりふり構わぬ姿。かつて天才打者と呼ばれたプライドも威厳もかなぐり捨てていた。その様子を見ていた周囲は心を打たれる。復活への強い決意がひしひしと伝わってきた。
午前中に外野芝生で行われたアメリカンノック。そこに今岡の姿があった。「本当はサブグラウンドで任されてマイペースでやりたいけれど、立場もあるんでね。やらなきゃいけないわけだから」。若手に交じり、両翼ポール間の約160メートルを全力疾走しながら捕球するハードな練習に、今年で35歳を迎える肉体は悲鳴を上げた。
最初はひざに両手をついて呼吸を整えたが、3本目を終えると左翼ポール付近で前のめりに倒れ込んだ。それでも過酷なトレーニングが終わることはない。本数を重ねるたびに両足はもつれ、表情はゆがんだ。山脇守備走塁コーチのゲキにも、少しうつろな目で反応するのが精一杯だった。
時間にして約10分。休む間もなく6本を捕り終えると、右翼の芝の上に大の字になって倒れ込んだ。「もう必死で頑張りました」と言うベテランの姿に、岡野手チーフコーチは感服の表情だ。「何とか復活をという思いを感じさせるよね」
本来、ブルペンや打撃、守備練習を視察するのが目的でアメリカンノックなどは調査対象にないはずの他球団007も驚いた。巨人・田畑スコアラーは「すごかったね。変わろうという姿勢が伝わってきた」と、その意気込みに舌を巻いた。
今岡はここ数年のキャンプではベテラン組に振り分けられ、調整は一任されてきた。しかし結果を残せず、真弓監督の今季構想ではあくまでも一塁の控えだ。慣れ親しんだ三塁のポジションをはく奪され、ベテラン特権も失った。
この日は自主トレを通じて初めてファーストミットを装着。「きのう真弓監督と久慈さんに『3日からシートノックをやるから慣らしておけ』と言われたから」と理由を明かしたが、落胆のそぶりは一切見せなかった。
たとえ泥まみれになっても、どんな苦境に陥ってもはい上がってみせる。光が一筋でもある限り、今岡は戦う。ファイティングポーズを解くことだけは絶対にしない。
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