デジカフェはJavaScriptを使用しています。

JavaScriptを有効にすると、デジカフェをより快適にご利用できます。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしてからご利用ください。

「大好き」を伝えるために 1話

2009年01月05日 23:07

【第一章 悲しむ彼の顔】               なんで啓司くんが泣の?


「あっ、やっと起きた。大丈夫ですか?目覚めました?」

ゆっくり目を開くと、そこには見慣れない景色が広がっていた。

見渡す限り白、白、白…。
建物どころか草一本生えていない。太陽も月も空も何もない。上も下も、右も左も、とにかく全てが真っ白な世界だった。

「あなた誰…?」

目の前には、心配そうに私を見つめる小さな女の子。真っ黒な長い髪と、真っ黒な大きな瞳。真っ黒なワンピースに身を包んでいて、片手に斧。

真っ白なこの世界には似ても似つかない。女の子だけがこの空間から、ポッカリ浮かび上がっているみたいだった。

「私ですか?私は死神です」「し、死神っ!?」

女の子は私を抱き起こしながら、目を丸くしている。

「あれ?覚えてないですか?アナタ死んじゃったんですよ」私が死んだ…?目を瞑ってゆっくりと記憶を辿ってみる。耳をつんざくような、激しいトラックの急ブレーキの音が蘇った。

一瞬で真っ赤に染まった視界。独特な浮遊感と、言い表せない程の激痛。

…そうだ、私トラックに跳ねられたんだ。

「半年間、植物状態だったみたいですよ」

死神と名乗った女の子は遠くを見ながら囁くように言った。
私、植物状態だったんだ…。

うーん…。でもなんとなく覚えてるかも。あの病院の独特の匂いとか。でもまさか植物状態だったなんて。

「でもついに力尽きちゃったみたいですね。半年間お疲れさまでした」

いや、お疲れさまとか言われても…。私、植物状態のころの記憶ないからなあ。
「さてと」
すると、女の子は私の手を引きながら、ゆっくり立ち上がった。

「じゃあ、行きますか」

「へ!?行くってどこに?」

「どこに、って…。決まってるじゃないですか。あの世に、です」

あの世…」

テレビで見たことがある。占い師とかお坊さんとが、幽霊と交信して、成仏させる番組成仏した霊は、あの世に行って、また転生してこの世に帰ってくる…みたいなこと言ってたっけ。正直“あの世”なんて信じてなかったけど、今、実際に体験してるわけだから…。なんか不思議な感じがする…。
「どうしました?」
女の子は黙り込んだ私に、クリクリと愛らしい瞳を向けて問い掛ける。

死神イメージって、なんかもっと怖いイメージだったんだけどな…。…続く

このデジログへのコメント

まだコメントがありません。最初のコメントを書いてみませんか?

コメントを書く

同じ趣味の友達を探そう♪

  • 新規会員登録(無料)

プロフィール

シュリ

  • メールを送信する
<2009年01月>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31