- 名前
- シュリ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 61歳
- 住所
- 福岡
- 自己紹介
- 特になし
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「大好き」を伝えるために 1話
2009年01月05日 23:07
【第一章 悲しむ彼の顔】 なんで啓司くんが泣の?
「あっ、やっと起きた。大丈夫ですか?目覚めました?」
ゆっくり目を開くと、そこには見慣れない景色が広がっていた。
見渡す限り白、白、白…。
建物どころか草一本生えていない。太陽も月も空も何もない。上も下も、右も左も、とにかく全てが真っ白な世界だった。
「あなた誰…?」
目の前には、心配そうに私を見つめる小さな女の子。真っ黒な長い髪と、真っ黒な大きな瞳。真っ黒なワンピースに身を包んでいて、片手に斧。
真っ白なこの世界には似ても似つかない。女の子だけがこの空間から、ポッカリ浮かび上がっているみたいだった。
「私ですか?私は死神です」「し、死神っ!?」
女の子は私を抱き起こしながら、目を丸くしている。
「あれ?覚えてないですか?アナタ死んじゃったんですよ」私が死んだ…?目を瞑ってゆっくりと記憶を辿ってみる。耳をつんざくような、激しいトラックの急ブレーキの音が蘇った。
一瞬で真っ赤に染まった視界。独特な浮遊感と、言い表せない程の激痛。
…そうだ、私トラックに跳ねられたんだ。
「半年間、植物状態だったみたいですよ」
死神と名乗った女の子は遠くを見ながら囁くように言った。
私、植物状態だったんだ…。
うーん…。でもなんとなく覚えてるかも。あの病院の独特の匂いとか。でもまさか植物状態だったなんて。
「でもついに力尽きちゃったみたいですね。半年間お疲れさまでした」
いや、お疲れさまとか言われても…。私、植物状態のころの記憶ないからなあ。
「さてと」
すると、女の子は私の手を引きながら、ゆっくり立ち上がった。
「じゃあ、行きますか」
「へ!?行くってどこに?」
「どこに、って…。決まってるじゃないですか。あの世に、です」
「あの世…」
テレビで見たことがある。占い師とかお坊さんとが、幽霊と交信して、成仏させる番組。成仏した霊は、あの世に行って、また転生してこの世に帰ってくる…みたいなこと言ってたっけ。正直“あの世”なんて信じてなかったけど、今、実際に体験してるわけだから…。なんか不思議な感じがする…。
「どうしました?」
女の子は黙り込んだ私に、クリクリと愛らしい瞳を向けて問い掛ける。
死神のイメージって、なんかもっと怖いイメージだったんだけどな…。…続く
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