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今来むと〜

2024年09月11日 07:16

今来むと〜

本日の清英の書作品は

素性法師(21番) 『古今集』恋4・691
今来むと 言ひしばかりに 長月(ながつき)の
有明(ありあけ)の月を 待ち出(い)でつるかな 現代語訳

「今すぐに参ります」とあなたが言ったばかりに、9月の夜長をひたすら眠らずに待っているうちに、夜明けに出る有明の月が出てきてしまいました。
ことば

【今来むと】
「今」は「すぐに」の意味で、「む」は意志を表す助動詞です。
「来む」というのは、平安時代には男を待つ側であった女性の立場での表現です。
 
【言ひしばかりに】
「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、「ばかり」は限定の助動詞です。全体で「(男がすぐ行くと)言ってよこしたばかりに」という意味を表します。
 
長月
陰暦の9月で、夜が長い晩秋の頃です。
 
有明の月】
夜更けに昇ってきて、夜明けまで空に残っている月のこと。満月を過ぎた十六夜以降の月です。
 
【待ち出でつるかな】
「待ち出づ」は「待っていて出会う」という意味で、それに完了の助動詞「つる」の連体形と詠嘆の終助詞「かな」がついています。「待ち」は自分が待っていることで、「出で」は月が出てきたことを示します。要するに、男が来るのを待っているうちに月が出てしまったことをまとめて言った表現です。
作者

素性法師(そせいほうし。生没年不明)
俗名・良岑玄利(よしみねのはるとし)。9~10世紀初頭にかけて生きた人で、百人一首12番に歌が残る僧正遍昭(良岑宗貞=よしみねのむねさだ)の子。清和天皇の時代に左近将監(さこんのしょうげん)まで昇進しましたが、父親の命令で出家して雲林院(うりんいん)別当に任ぜられ、大和石上(現在の奈良県天理市)の良因院の住持となりました。三十六歌仙の一人で、宇多天皇の時代に上皇の御幸で歌を詠むなど活躍しています。

この文面の詳細はこのサイトから転載しました。https://ogurasansou.jp.net/columns/hyakunin/2017/10/17/1066/

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