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ホテル「ノース・コリア」

2021年12月29日 18:03

ホテル「ノース・コリア」

2016年06月12日


 総支配人金玉正恩がにこやかな笑みを浮かべ、ロビーを行き交う宿泊客に挨拶をしている。

金玉正恩:ノース・コリアへようこそ。お客様お荷物はそこの奴隷・・・失礼、ボーイがお部屋までお持ちします。

(指を鳴らして)イ・ビョンホン(이병헌)!さ、お客様のお部屋までお荷物をお運びしなさい。

 金玉は、相変わらず笑みを浮かべていたが、その眼差しは鋭い。スタッフの動きを素早くチェックし、視線をフロントに移す。宿泊手続き中の客に目をとめた。横顔を見て驚いた金玉正恩が、フロントのスタッフに指を鳴らし目配せした。

 慌ててやってきたスタッフが足元に跪き、恭しく宿泊者名簿を差し出した。鷹揚に頷いた金玉は名前を確認すると、その客のそばに歩み寄った。

金玉正恩:これはこれは、習大僧正。ノース・コリアへようこそ。今日はお忍びですか?

習金助平:おや、金玉ちゃんじゃない。お忍びのつもりがバレちゃったみたいだね。

金玉正恩:一方ならぬお世話になってる習大僧正のお顔、この金玉が見逃すわけがございません。

おや、鄧小平事務長もおみえですね。

習金助平:うん、チビも連れてきちゃったぁ。

金玉正恩:鄧事務長をチビなどと…大僧正の地位こそ望まなかったものの、一時は中国共産党の影の最高実力者とも評され、その手腕を遺憾なく発揮されたことは、若輩者の金玉でさえ、ようく承知しております。

特に1989年の天安門事件の際には、私兵として自由自在に操ることができた人民解放軍を投入し、異教徒である生意気な学生どもとその同調者どもを戦車で蹴散らし、多数をあの世に送った送り人だと、わたくしどもの父からよく聞かされたものです。

小平:父上って、金正日だったアルカ?あぁ、あの若造ネ。アンタ、あの若造息子アルか?

金玉正恩:左様です、鄧小平事務長。

小平:あぁ、そう・・・

習金助平:チビはさぁ、もう歳だから、これを最後の外国旅行にしようって坊主達と相談して連れて来たってわけよぉ。

金玉正恩:左様ですか。お部屋はまだお決めになってないようですね。

では、鄧小平事務長には、当ホテルのスィートルームにお泊りいただき、最高のお・も・て・な・しをさせていただきます。「公開処刑」か「餓死寸前」のどちらになさいますか?

小平:どっちでもイイアルネ

金玉正恩:では事務長には「公開処刑」。大僧正には「餓死寸前」にお泊りいただこうと思いますが、よろしゅうございますか?

習金助平:いつも悪いね、金玉ちゃん。お部屋の名前だって、ナイスなネーミングセンスでいつも感心しちゃうよ。

このチビが影で金看板背負ってる時代には、うちの党でも公開処刑があったんだけどさ、今はやりたくてもやれないよ。金玉ちゃんが羨ましいくらいだよ。

金玉正恩:お褒めいいただき恐縮です。

スタッフには徹底した思想統制を!が、先々代時代からの社是でして、大衆は無知なのがイイとおっしゃられた毛沢東初代大僧正のお考えに通じるものと自負しております。

公開処刑もその一環として鋭意取り組み、不断なきリストラで当ホテル企業価値をさらにさらに高めていきたい所存でございます。

(習金助平の耳元に口を近づけ小声で)それはそうと、最近アカが多いそうですよ。物騒ですから、大僧正もお気をつけ下さい。

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