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趣味は読書、眠れぬ夜

2020年05月18日 00:00

自粛が始まって、変な時間に寝てしまうようになり、夜にあまり眠れない。
これも、緊急事態宣言が解除されれば、日中普通に仕事をするので、治っては来るだろう。
中学二年か三年の頃、夜、寝床に入り、ふと「死んだらどうなるのだろう」と考え始め、眠れなくなった。
それは、未知のものへの恐怖と、それに必ず伴うだろう苦痛へ恐怖だったのだろう。
目の前の闇のせいもあって、恐くて恐くて眠れなかった。
それが、何日か続いて、いつの間にか考えなくなった。
あれから、40年以上経つ。
今、同じように考えても、そんなに恐くない。
死の意味を知ったわけではないし、自分なりに、定義づけて安心しているのでもない。
なぜだろうか。
一度、冬に石油ストーブを焚いた部屋で、一酸化炭素中毒になり、倒れたことがある。
一瞬目の前が真っ暗になり、倒れた。
何も覚えておらず、気がついた時は、倒れた際に障子のさんで打った右の眉の辺りがとても痛かった。
物音に、母が駆けつけて来たのを覚えている。
あんな風に気を失ったまま死ぬなら、楽である。
年をとって、酒を飲むようになり、三十代の半ばに、調子に乗って飲み過ぎて、夜中にトイレに起きて、小便をし終わったら、狭いトイレに蹲ることしか出来ないほど、気分が悪くなった。
目の前の世界が段々色を失って行って、白と黄色と紫になって、体に力が入らない。
その時は既に母は亡くなって、ひとり暮らしだったので、誰も助けに来ない。
あの時は、こうして死んでしまうのではと、覚悟をした。
暫くすると、色彩が戻って来たのだが、あれは極度の脱水症状だったのかもしれない。
そのような体験があるから、死への恐怖が少し和らいでいる。
昔ほど恐くはないが、死ぬのは嫌である。

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