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コテージにて(3)

2016年03月02日 09:25

招待状にあった三連休の初日の土曜日だった。マユミは朝からそわそわしていた。

娘は、昨夜から帰ってきていない。普段なら、遅くとも朝帰りのはずだ。

あの封筒を手にしてから、慌てて用意した電車は指定席を取れなかった。

セックスフレンドとの逢瀬の約束もあったが、約束をずらそうにも連絡が取れなかった。

自分の周りで何かが、起きている。そう感じていた。しかし、その状況に期待している自分がいる。

マユミには破滅願望があった。火遊びから始まった大火傷。それが不倫を始めた時に抱いていた願望だった。

満ち足りた生活を壊され、全てを奪い取られたい。

その願望には、地味で、堅実で、昼行灯な夫への報復の意味もあった。

招待状に書かれた場所は、山奥にあった。電車に一時間、バスで一時間の小旅行だ。

コテージの前で足を止める。住所を確認するが、そこで間違いない。

随分と立派なコテージだ。火山が近いからか湯煙が上がっていた。周りには、建物はなく、別棟のコテージも見当たらない。

そう、ポツリと一棟だけ建っているのだ。

恐る恐るコテージのインターホンを押すと、軽快な音が鳴り響いた。

一拍置いて、インターホンのスピーカーから男の声が聞こえる。

マユミさんですね?お待ちしておりました」

ブツッという、インターホンのマイクが切れる音が鳴った後、男性が一人現れた。

細身だが、筋肉質な腕がシャツから覗いている。表情からは遊び慣れた感じを受けた。

「あ、あの…ま、マユミと申します」

声は震えて、上ずりながらも、そう伝える。

男はマユミの手を取ると、その甲にキスをする。

「お待ちしていました。さぁ、中へお入り下さい」

紳士然とした態度は、セックスフレンド達や、ましてや夫にはあるはずもない自信を感じた。

招かれるままに、その広いコテージのリビングへと入る。

ソファに座らされると、男はキッチンからお茶をさしだした。

「申し遅れました、私は、加藤誠治と申します」

震える手でお茶を口に運ぶ。セイジの態度は、あくまで紳士的で好感を抱くほどの物だった。

「あ、あの…頂いた写真の件ですが…」

恐る恐るマユミは言葉を切り出した。

******************
今回はエロなしです

このウラログへのコメント

  • 飼い主 2016年03月02日 10:54

    次への期待感は十分に盛り上がりました!
    さて、どうなるんでしょう♪楽しみです!

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