- 名前
- taichi
- 性別
- ♂
- 年齢
- 54歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- 正直若いころに比べて女性にに対してもSEX対しても臆病になっているところがあります。...
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チャイニーズガール
2011年09月12日 19:03
虹橋区には日本人向けスナックが多くあった。
日本語ができる女の子は、それで十分に食べて行けた。
実際、麗の友達ふたりはホステスとして勤め始めていた。
給与は基本給で1日50元(750円)、後は歩合のようだ。
まだ始めて2ヶ月目なのに、早くも3000元(45000円)ほどの手取りになっている。
「麗ならできるよ、可愛いもん」
ふたりの友人は口を揃えて言う。
どうやら店のマネージャーに友人を紹介しろと言われているようだ。
「うん・・・考えさせて」
もうひとつ乗り気になれない麗だった。
「やあ、こんにちは。」
コンビニで商品を並べ替えていた麗が話しかけられる。
「いらっしゃいませ」
ニコヤカな笑顔で振り向いた。
「昨日はありがとう。シェエシェエ」
麗はクスッと笑う。(覚え立てね?)
「いいえ、わたし何もしていません。」
「あ、ああ・・・でもありがとう」
「・・・どういたしまして」
ふたりは顔を見合わせて笑っていた。
その後、3日間毎日のように剛志は麗の前に現れた。
必ず牛乳を買って行く。
麗は剛志に(明るくて、いい人・・・)と好印象を持っていた。
始めて出合ってから5日が過ぎたとき、剛志は麗を食事に誘った。
「明日、日本へ帰るから今晩食事に行かないか?」
「・・・」
「心配しないで。食事だけだから!」
(違う、そうじゃない・・・)
麗はもう会えなくなるんだと言うことを気にしたのだった。
地方から出てきたばかりの麗にとっても話し相手の少ない上海だった。
ルームメイトの友人も夜の仕事であるため、ほとんどすれ違いだし、すぐにスナックに勧められる。
二言三言しか会話をしない剛志だったが、麗にとっては大切な存在になりかけていたのだ。
「だめかい?」
「違うの・・・明日帰るって」
「あっ、でも来月にまた来るよ」
「・・・そ、そう!」
麗は食事の誘いにうなづいた。
待ち合わせのシェ○トンホテルは麗の勤めるコンビニから歩いて5分ほどにある。
7時に仕事を終えた麗はあわててアパートに帰り、洋服を着替えた。
約束の時間は8時だった。
流石にコンビニのユニフォームで行くわけには行かない。
かといって見栄えの良い洋服などは持っていなかったのだが。
「仕事何時まで?」
「7時です。」
「じゃあ、7時半にシェ○トンで」
「はい。あっ8時でいいですか?」
「いいけど・・・どうして?」
「あの・・・わたしユニフォームで来てるから」
「ああ、そうか。僕は気にしないけど、女の子だものね!いいよ8時に待ってる」
あわてて走った麗は8時5分前に到着していた。
5つ星のホテルはさすがに豪華で、出入りするお客も煌びやかに見えた。
広いロビーでキョロキョロと剛志を探したが、まだ来ていないようだった。
大きなソファーに腰かけて待つ勇気もなく、麗は太い柱に寄りかかっていた。
(早く来ないかな・・・)
心細くなる麗は何度も腕時計を気にしてしまう。
(あと1分・・・)
剛志はまだ来ない。
その時、紺色のスーツを着て旨にネームを着けた男が麗に向かって歩いてきた。
「どなたかとお待ち合わせですか?」
「・・・」
「ああ、私はこのホテルのマネージャです」
「どうして?」
「いや・・・最近、市の役人がうるさくてね。身体を売る女が多いから」
どうやら場違いな麗をそういった類の女だと思っているらしい。
「ち、違います!わたし、そんなんじゃない!」
少し大きな声が出てしまった。
周囲の人がこちらを見ている。
「そうならいいんだけど・・・ちょっとこっちへ来てくれるかな?」
「どうして?」
「いいから・・・控え室に公安がいるのでね」
(※公安=警察)
「い、いやです!」
マネージャと名乗る男は麗の腕をつかんで強引に控え室へ連れて行こうとした。
「な、何をするの?やめて・・・」
「ああ、待たせちゃったね!仕事で日本に電話をしていたんだ。」
ようやく剛志が来てくれた。
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