お茶会S3-非日常の世界

「ちょっと笑えない話になると思うけど」

「あの米田さん無理しないで・・・」

「やがみさん　もしかしてわかってる？」

「うん　なんとなく・・・」

「何よ　二人だけでわかってるのよ」

「あまり　色っぽい話じゃないと思うけど・・・」

「なによ　もったいぶらないで話なさいよ」

「やがみさん　どうしようか？」

「うーん　仕方ないかな」

「話しなさいよ　ギャラリーも期待してるんだから」

外野のお客

つまり　この後の迫水さんのキープたちがニヤニヤしてる

「くずが　　」

聞こえないくらい小さな声で米田さんがつぶやく

そして　睨む・・・

すごい　殺気みたいなもの感じた・・・

多分　これから話す相手たちとダブったんだろうな


「ツーリングに行ったのよ

結構　気の許せるっていうか信頼してた人たちとね

男3人と女はわたし一人」

「ツーリングって？」

「あ　米田さん　オートバイ乗ってるのよ」

「ああ　ドライブみたいなものね」

「いつも通り走って　野外でキャンプはって」

「それって　お泊り？」

「ええ　そう　何度もやってたし　その日もいつも通り

ところが　わたしのテントの中に一人が入ってきて

わたしの口を押さえてのしかかってきたの」

「それって　　」

ちょっと　静まっちゃったよ・・・

「そ、それで　やられちゃったの？」

迫水さんも　ちょっと動揺してる

「抵抗しようとしたんだけど手も足も動かなくて」

「怖くて動けないよね」

「だったら　よかったんだけど

手足が動かなかったのは押さえられていたから」

うわ　やっぱし　つまりは　まわされたってことだよね

「信じてたのよね　でも　信じたわたしがバカだった

何度かツーリングしてるうちに

みんな　わたしが女だって気づいちゃったのよね

なるべく　そんな風に見られないようにしてたんだけど」

あ　それわかるよ・・・

わたしも昔　女だって見られるのが嫌で

がさつに振舞ってた・・・

でも　みんなは　わたしを女だって思ってた

知らないところで　えっちのおかずにされたり

写真が売られてたりした・・・

「今に思えば　何度か何もしなかったのも

その日のためにだったのかもね

抵抗も出来ずに裸にされて

ナイフで脅されて・・・

懐中電灯で照らされて

照らされたところに男の顔が近づいて

怖いよりも悔しくて

その悔しさが　男にじゃなく

そんな状況なのに感じてる自分が悔しくて

あそこが照らされて　そこに顔が沈んでいって

そして　体中に電気が走ったようにのけぞって

その時　自分が女だって

男たちの欲求に応えてしまういやらしい女だって思い知った

その瞬間　もう　どうでもよくなって

口にねじ込まれたまま　突かれたり

朝まで　好き勝手にされて」


これは　ちょっと・・・

さらりととんでもない体験を話すし・・・

井口さんと森さん　ボロボロ泣いてるし・・・

美弥さんと田中さん　すごいきつそうな顔して

迫水さんさえも　言葉を失ってるよ・・・

「翌朝　テントの中でぐったりしてるわたしの体の上に

お金を置いて　みんな帰ってった

ほんとだったら　泣くとこだと思うんだけど

笑うしかなかったかな

その時　何かが切れちゃったのよね」


「そ、その男たちはどうしたのよ？」

「逃げた」

「逃げたって？」

「その後　連絡しても電話も出ないし」


やることやったからもう用はないか

自分たちのやらかしたことに怖くなって逃げたか・・・

「その代わり　そいつらの知り合いって人から電話あって」

「ちょっと待った・・・」

「なに　やがみさん」

「今の話　続きがあるみたいだけど・・・」

「続きっていうか　次の話があるけど」

「その話　みんなの様子みてからにしようよ」

「あ、そうね　だから重苦しいって言ったのに」


「な、なかなか　や、やるわね」

動揺しながら虚勢をはる迫水さん

「やられたのよ」

「そ、そうとも　　言うわね」

さらりと返す米田さんに　たじろぐ迫水さん

「やがみさん」

「はい・・・？」

「もしかして経験者？」

「えっと、まあ　似たようなことは」

どうも　わたしの反応

他の人とは違ってたみたい

けど　それを見抜くのって

この人も只者じゃないな・・・


「なに　やがみさんもやられたことあるわけ？」

えっと　今度はわたしの矛先が向いたよ・・・

外野まで興味津々にみるし・・・

「そんなたいそうなことじゃないよ」

「どんなのよ　聞いてあげてもいいわよ」

なんか　迫水さんの言い方　癇に障るな

「深水さんには　刺激が強すぎるかも・・・」

「なによ　子供扱いするわけ？」

「だって　わたしから見たらお子様だし」

「なんですって？」

「軟禁されて5人に毎日まわされただけだし」


あ、　空気が固まったよ・・・


ああ　井口さん森さん泣かないで・・・

田中さん　美弥さん　そんな目で見ないで・・・

どうも　米田さんとわたしの話

迫水さんのキャパシティを越えちゃったみたい

敗者の顔だ・・・

ただね　こういうのに

勝った負けたなんてないんだよ

そこが迫水さん

　　　　　　　　　　　　　・・・お子様だっていうの