デジカフェはJavaScriptを使用しています。

JavaScriptを有効にすると、デジカフェをより快適にご利用できます。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしてからご利用ください。

放課後の…

2010年12月21日 22:22

放課後の…

秋も深くなり、すっかり日も短くなってきた。下校時間を過ぎたこの美術室から見る窓の外では、すでに街灯の光が点っている。


「ふう……」

 ひと息つくと、麻田君は水彩画用の筆を下ろした。
 

 今年入学した高校美術部に入部した彼だが、今度、大阪市のの絵画コンクールに出品することになっている。それが、今描いている作品だ。どうにも筆がのらない状態であったが、一年生の彼は絶対提出を命じられており、目の前の花瓶を写生しているところであった。


「ひと休みしたら、さっさと描きあげちゃおう」
 

 気を取り直して絵筆を持ち上げた麻田君だったが、ガチャリと扉が開く音に後ろを振り返る。そこには、制服姿の女生徒がドア口に立っていた。


「あれ? 麻田君、まだいたんだ」

「あ……里見先輩」
 

 美術部の部長を務める里見は、麻田君の一つ先輩で、面倒見のよい性格もあって、なにかと彼に良くしてる。


「私は、忘れ物を取りに来たんだけど……どうしたの、ミキちゃん? こんなに遅くまで」


「その呼び方、止めて下さい」


 ちょっとムッとして、麻田君は言った。


里見先輩は春菜だからハルちゃんって呼ばれてもいだろうけど…。」



ミキちゃん”とは、もちろん麻田君、麻田幹彦のことだ。小柄で、線も細い少年のことを、女子部員たちはからかってそう呼んだりする。
 だが、女の子のように可愛らしい、と評される外観にコンプレックスを持つ幹彦は、この呼ばれ方が好きではなかった。



「あぁ、ごめん、ごめん」



 たいして悪びれもせずに、綺麗な顔に笑顔を浮かべながらも口では謝りつつ、里見は部屋の中に入ってきた。




「そっか、今度のコンクール用の絵ね。確かに、そろそろ急がないと間に合わないやんね」



 どれどれ――と、里見は少年の後ろから、肩越しに彼の絵を覗く。その拍子に、ふわりと何かいい香りが彼女の方から漂ってきて、幹彦は密かにドキドキとしてしまう。



 春菜は、そこそそ美人だ。もしかしたら美少女というべきなのかもしれないが、大人びた雰囲気を漂わせている彼女は、幹彦から見て年上女性といった印象を強く与える。
 男子たちの間でも人気のある女生徒のひとりで、幹彦も密かに彼女に憧れていた。



「うーん……」



 その春菜は、少年の絵をしばらく見ていたが、やがて短く言った。



楽しい絵じゃないねんなぁ」



「え?」



 突然、自分の作品をけなされ、幹彦は驚いて振り返る。

 そこに、思っていたよりも近い距離にある春菜の綺麗な顔を認め、彼は再びドキリと胸を高鳴らせて、あわてて前を向き直してしまった。




「麻田君。この絵、描いてて楽しくないんちゃう?」



 そんな彼の内心を知ってか知らずか、春菜は後ろからほとんど寄り添うような距離で、幹彦に話しかけてきた。



「昼間もずっとつまらなそうな顔で描いていたし……もっと、なにかキミが好きな物を描いてみたら?」




「好きなもの……」



「そそ。その方がきっと楽しく描けるし、いい絵になると思うよ?」




 少女の呼気が、僅かに幹彦の頬に触れる。自分の顔が赤くなってはいないかと心配する少年だったが、ひとつの思いが彼の心に浮かび上がってきた。




「あ、あの……じゃあ、」




 口に出そうかどうか迷ったが、つばを一つ飲み込むと、幹彦は覚悟を決めて春菜に向かい合った。




「その、もしよければなんですけど……里見先輩、モデルになってもらえませんか?」


 やった、言えたっ。


 心臓バクバクさせながら懸命に絞り出した言葉に、雪菜はどう応えてくるのか?

 緊張に身体を強ばらせながら返事を待つ幹彦に、年上少女は、しかし彼とは対照的に柔らかい笑顔を浮かべて返事をした。





「ん~……そっか、うん、えぇよ」



「本当ですかっ!?」



 承諾の言葉に喜ぶ後輩の少年に、春菜は悪戯っぽい光が浮かんだ瞳を向ける。



「でも、それってやっぱり、告白だったりするのんw?」


「え……あ、あの、それは……」




 改めて確認されると恥ずかしさがつのり、どもってしまう幹彦。そんな彼の様子に、春菜は小さくクスクスと含み笑いを洩らした。




「まあ、幹彦君が私のことを好きなことは、知ってたしね。
          ……それに私も、キミに興味があったし」



「先輩、それって……」




 椅子から立ち上がって確認してくる後輩に、少女は頷いてみせる。



「うん。だから、おっけーだよ」



「やった……っ」





 信じられないような思いを抱きながら、無邪気に喜ぶ幹彦。そんな彼を微笑ましそうに見つめていた春菜だったが、先ほどから瞳に浮かんでいる悪戯っぽい表情は相変わらずに、少年に尋ねてきた。




「それで、どんな絵が描きたいん?。
         やっぱり……ヌードだったりするん?」





「い、いえっ。そんな……ことは」





 顔を赤らめ、首を左右に振る幹彦。からかわれているのだろうと判断し、自分の狼狽を押さえ込もうと大きく深呼吸をする。




「あ、あの……普通に座っていてくれれば、それでいいですから」





 体制を整えながらそう応える。だが、せっかく落ち着かせようとした心臓も、次の春菜の一言で、あっけなく混乱してしまった。



「あら、残念w」


「……え?」




(それって……) 残念とは、どういう意味なのか。動揺してうまく次の言葉が出てこない幹彦に軽く背を向けると、春菜は入り口のドアに向かって歩き出す。

 何事かとそのスラリと綺麗な背中を見つめる少年の耳に、

   『カチャリ』

  と小さな音が聞こえた。






「さあ、これで私達以外、誰も入ってこれないわよ?」


 ドアのカギを掛けた春菜が、少年の方を振り向いて言った。




「せん……ぱい?」



 ほんのりと、少女の頬が染まっているのがわかる。彼女はそのまま、どうしていいかわからずに立ちつくす幹彦に歩み寄ると、そっと顔を近づけてきた。



「ん……」



 幹彦の唇に、柔らかな感触が重なる。


(これ……里見先輩と、キスを……?)



 軽く、合わせるだけのキス

 それでも彼にとって、これは初めての体験だった。唇が、他者の唇と触れ合う――それだけのことが、こんなにも胸を高鳴らせる。



「……はぁ」



 唇が離され、幹彦の口元から吐息が漏れた。春菜はそんな彼を、目元を赤らめ見つめながら、言った。



「さっきのモデルの話だけど、本当にヌードじゃなくていいの?」



「え……で、でも」



 春菜の口から出てくる言葉に、幹彦はまったく着いていけない。なんと答えればいいのかわからずに、ただおろおろとするだけだ。


 そんな彼の首に、春菜の両手がかけられる。抱き寄せるように顔を近づけると、この年上少女は、少年の耳元でささやいた。



「私は、キミのこと……脱がしてみたいけどなぁ」















(´△`) えっ?


***********
間違い訂正済みw ゴメンw

このウラログへのコメント

  • ローズライン 2010年12月21日 22:35

    先輩も後輩もええけど、、、まずは写真の人を脱がせずたっぷりいじめたいわ~。今ちょームラムラ中w

  • やまねこ ♪ 2010年12月21日 22:36

    雪菜ちゃん突然登場?
    せんぱいかぁ…もぉ30年前の遠い記憶…
    思い出しちまったww

  • ベッキャム 2010年12月21日 23:56

    才能あるのでは?

    最初の『水彩画用の筆を下ろした』でエロを感じた

  • ケヴィン☆ 2010年12月22日 02:05

    実体験かな?

  • ささ 2010年12月22日 04:40

    ええのぉ~性春の1ページっていう感じで~笑^^
    でも少女は、ちょい意地悪モードのネコマルみたいだ

  • aki 2010年12月22日 07:57

    そんなネコサンが好き…www

  • ネコマルver2 2010年12月23日 22:51

    > yukiさん

    看護師は患者のクオリティオブライフQOLを高める努力を…(ry

  • ネコマルver2 2010年12月23日 22:52

    > ローズラインさん

    (o ̄∀ ̄)ノ”ぁぃ

    じゃ、とりあえぅ、ぬぎぬぎしまーすww

  • ネコマルver2 2010年12月23日 22:53

    > やまねこ♪さん

    ヾ(^-^;) ゴメンなさい 間違いで訂正しましたw

    遠い昔の記憶…ってでも今の自分にメッチャ影響してるって思ってますww

  • ネコマルver2 2010年12月23日 22:55

    > 孤光さん

    ヾ(`ε´)ノ◎ー◎ タイホタイホー!

    (〃∇〃) てれっ☆手錠?腰縄?

    痛くせんといてぇ~♪ww

  • ネコマルver2 2010年12月23日 22:56

    > ベッキャムさん

    パルキーの先の皮を剥いて…

    うむ、これが実力。


    (* ̄m ̄)プッ

  • ネコマルver2 2010年12月23日 22:57

    > ケヴィン☆さん

    さー、どうやろ?

    作家って実体験ばかりじゃないやんね?
    でもノンフェクション作家もおるかww

    さぁ、これはどうやろねww

  • ネコマルver2 2010年12月23日 22:57

    > さささん

    どうしても、オチをどうするか、

    それが頭から離れず…


    アカンアカンww

  • ネコマルver2 2010年12月23日 22:58

    > akiさん

    いっとく?





    ハイ(-Д-)ウソ~

    ゴメンww

  • ネコマルver2 2010年12月23日 23:09

    > yukiさん

    オケオケw

    じゃ今日から3日間、逝くのは禁止で。





    ( ̄w ̄) ぷっ

  • ネコマルver2 2010年12月24日 01:01

    > yukiさん

    (´・ω・`)エェェェエ

コメントを書く

同じ趣味の友達を探そう♪

  • 新規会員登録(無料)

プロフィール

ネコマルver2

  • メールを送信する
<2010年12月>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31