- 名前
- 絵梨菜
- 性別
- ♀
- 年齢
- 55歳
- 住所
- 京都
- 自己紹介
- 特になし
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過去への旅(戸惑いの中で。。。)
2009年03月30日 00:20
京都の西の外れから東の外れへ車を走らせる。
今年の春はまだ風が冷たい。
薄曇りの空に桜が映える。
10年前の住所を頼りにマンションを探す。
駅近くにあるそのマンションは、予想以上に大きかった。
(結構、ええ暮らししてはるんや。)
『分譲マンション。空室あり』
その看板に目をとめる。
3階の左から2つ目。。。
通りを挟んで反対側の歩道で見上げてみる。
遠すぎて中の様子は伺えない。
(やはりマンションの中へ入らないとダメかな。)
扉は、オートロック。
(入れないのか。。。)
お店をやめて久しいのに、いい暮らしぶりだ。
(間取りは、2LDKくらいかなぁ。もっとあるかな。)
慎ましやかに暮らしてた母の姿が目に浮かんだ。
(仕送りずっとしてたよなぁ。こんないい暮らししてる人に。)
ふいに心の鬼が目を覚ました。
小1時間ほどマンションの前で出入りする人々を眺める。
(この中にヒナさんはいるのだろうか。)
日曜日の昼下がり。
以外に出入りする人が多い。
顔も知らないのだから見つけようがない。
---何してるんだろ。私。。---
連絡も無しに来て会えるわけがないや。
家へ帰って出直して来よう。
夕方。
受話器を持っては、何度もためらう。
それでも春風に背中を押されて。
(電話通じるかなぁ。)
まだどこかで、電話が通じないことを願っている。
(5回コールして出なかったら切ろう)
「はい。○○でございます。」
受話器の向こうで少しかすれた女性の声
「私。△△と申しますが、和枝さんいらっしゃいますか?」
何年ぶりだろう。旧姓を名乗るのは。。
「わたしですが?」
訝しげな様子。
「突然お電話して申し訳ありません。孝蔵(父の名前)の娘です。」
「コウゾウさん?」
(覚えていないのかな。)
「△△孝蔵です。お世話になっていた。」
「・・・・ああ。。。」
(迷惑そう。。。当たり前か。)
父のことを知りたくなった旨を伝える。
「ご迷惑でなければ、お会いしてお話がしたいと思うのですが。」
(迷惑でないわけがない)
「お話といってもねぇ。昔のことですから。」
(アンタにとっては、過去のことなのか。)
心の鬼が呟いた。
「父の事、お聞かせ願えたらと。。」
「お話するようなことはないですが。まぁ。会いたいとおっしゃるなら構いませんよ。」
(随分、高飛車だな。)
「明日。ご都合はいかがでしょうか?」
「午後からなら、いてますよ。」
「何時頃がいいでしょうか?」
「来る前に電話してくれれば。。。」
「でわ。よろしくお願いします。」
(なんで、下手に出てるんだ。(苦笑))
---何してるんだろ。私。。---
父のアルバムを整理していたとき。
父と肩を並べて写っている女性の写真が数枚出てきた。
阿蘇、鎌倉、函館。。。
母とは一度も旅行なんて行かなかったのに。。。
あの写真の女性がヒナさんなんだろうか。
アルバムに写真を貼ったのは、おそらく母だろう。
どんな思いで写真を見ていたのか。
(同じ写真をアノ人も持っているのだろうか。)
心の鬼が憎しみの闇へ誘う。
憎しみはいつしか悲しみに変わり、
悲しみはいつしか諦めに変わる。
---何してるんだろ。私。。---
物干し台に上がって桜の木を眺めた。
もうすぐ満開だねぇ。
日暮れの空に桜の枝が揺れていた。
さっきまで心の奥で騒いでいた鬼が静かになった。
桜が散る頃、物干し台に花びらが一杯になるんだよねぇ。
ふいに、涙が出た。
このウラログへのコメント
> hayatoさん
踏み出したのか、足踏みのままなのか。。。
結果は、またログにでも。。。
> rousillonさん
出直して来ました。
結果は、予想どおり。。
何してるんだろ。私。。
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