過去への旅（風に押されて）

背中を押してくれる人がいた。
風に乗れって言ってくれた人がいた。
好きなようにしなさい。と見守ってくれる人がいた。
みんな、ありがとう。
次の一歩を踏み出す勇気をくれた人に感謝です。

春の風に押されて。。。

ヒナさんに、会いに行こうと思います。
本当は、まだまだ迷っているんだ。
その人を傷つけることはわかっている。
自分が傷つくのも怖い。
でも。。。
ここを通らなきゃ、私の旅は進めない。

居場所ならわかっている。
10年前と変わらないのなら、仕送りをしていた住所のはず。
電話番号も知っている。
かけたことはないけれど。。。

会いに行っていなかったら、そのまま帰って来よう。
顔も知らない相手だけど。。
家族と一緒だったらどうしよう。
電話でアポイントをとってからのほうがいいのだろうか。
電話する勇気がでない。。。

兄には、伝えないわけにはいかないだろう。
ヒナさんの存在は兄にとっても大きいはず。。。

兄に電話をした。
久しぶりの眠そうな兄の声。
「おう。エリか。どうしたん？」
「ヒナさんに会いに行こうと思うんやけど。」
「うーん。なんでまた。。。」
「お父ちゃんのこと知りたいなとおもって。」
「ほほう。お父ちゃんのことか。」
「何を思って生きていたのか。全然知らんしなぁ。」
「知ってどうするん？」
「少しは、理解できるかな？って。。。」
「たいした進歩やなぁ。（笑）」
「許せるかっていうと。それはやっぱり変わらへんと思うけど。」
「もういんようなって10年やで。（死んで10年経つよ。）」
「お兄ィはもう許したんや。」
「許すも許さんもない。もう腹も立たんわ。」
「そうかぁ。私は未だダメやけどなぁ。」
「執念深か。（笑）」
「サソリ座の女やしな。」
「関係ないやろ（笑）」

「お父ちゃんに辿りつくには、アノ人に会うのが一番の近道か。」
「それはどうか解らへんけど。避けては通れないでしょう。」
「そやなぁ。一番良く知ってはるんかもやな。」
「長い付き合いやったしな。」
「ほんま。。。長い付き合いやったなぁ。。」

「お兄ィ。一緒に会いに行く？」
「オレ？」
「うん。会いたくない？」
「うん。会いたいとは思わんよ。」
「許してないってことか。。」
「え？」
「ヒナさんのことをさ。」
「許すも許さんもないって。一応、産みの母やしな。」
「会いたいとは一度も思わんかったん？」
「思ったこともあったよ。タイミング逃がしたのかな。」
「今は？会わんでもええんや。」
「今更なぁ。会っても話すことないしなぁ。」
「ドラマのようには行きませんか。」
「行きまへんなぁ。特別な感情を持ってないんよね。」
「そうかぁ。そんなものかなぁ。」
「おやじの愛人やった人。それくらいにしか思ってないなぁ。」
「ふーん。かわいそうやな。」
「オレがか？あの人がか？」
「両方。。。」

「私。会いにいってもええかな？」
「ああ。それでエリの気が済むなら、会って来なさい。」
「迷ってるんや。実は、、」
「迷ったらええがな。じくり考える時間はある。急いで結論だすことはない。」
「会って傷つけてもなぁ。お兄ィは、どう思う。」
「会わずに傷ついたままより、会って傷ついたほうがええんとちゃうか？」
「私は、これ以上傷つけられることはないと思うけど。前の傷が致命傷やしな。（笑）」
「致命傷って。もう死んでるんか。（笑）」

「まぁ。会っておいで。オレも様子知りたいし。
会ってからまた考えたらええ。」
「うん。冷静で会えるやろか？」
「そこは。。。大人の判断でお願いします。」
「。。。それが一番苦手やな。（笑）」

桜の季節に。。
まだ迷っています。

でも。。。
会いに行こうと思います。

背中を押してくれる人がいる。
風に乗れって言ってくれた人がいる。
見守ってくれる人がいる。

春の風に押されて。。。。

歩いて行こう。。。