- 名前
- 絵梨菜
- 性別
- ♀
- 年齢
- 55歳
- 住所
- 京都
- 自己紹介
- 特になし
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過去への旅(父を捜して。。。)裏
2009年03月16日 19:14
彼女は、疲れていた。
クリスマス前夜。
人々で賑わう夕暮れの街を歩いていた。
4歳の女の子の手を引き、背中のねんねこの中に乳呑み児を背負い。
「○○警察署ですが、奥さんでしょうか。」
「ご主人。また飲み屋でケンカして保護してますので、引き取りにきてください。」
暫く家に寄り付かないと思ったら、いつもの電話。。。
恐らく。。。
昼間から飲んでいたのだろう。
警察に何度も頭を下げて、酔って正体のなくなった夫を抱えるように連れ出す。
(いつまでこんなことを繰り返すのだろう。)
警察を出て暫くすると、
「こいつ。オレのこと睨みやがった!」
大きな声と共に、女の子を殴りつける夫。
「こっちにおいで。」
かばうようように子供を引き寄せる。
4歳の女の子は、父親を睨んだまま、殴られても泣きもしない。
「飲みなおしてくる。」
「一度、一緒に帰ってから。。。」
彼女の声は届かない。
街ゆく人が女の子にぶつかり、迷惑そうな顔をしている。
「どうもすみません。」
頭を下げることにも馴れてしまった。
(このまま、どこか遠いところへ行けたら。。。)
背中で、泣き声がする。
「お腹すいたねぇ。おにいちゃんまってから、帰ろうね。」
おんぶ紐を握りしたら、泣き顔が笑顔に変わった。
♪お馬の親子は仲良しこよし。
いつでも一緒に、ぽっくりぽっくり歩く♪
お馴染みの唄が飛び出した。
彼女は、疲れていた。
月見草が咲く夜。
橋の上に佇み、河川敷の月見草を眺めていた。
6歳と3歳になった子供達に気を配りながら。
「来年は、この子も小学生か。生活費はちゃんとくれているの?」
「暴力が酷いようだしアル中だし。もういい加減に別れたほうがよくないか。」
「子供のためにもよくないで。長男もう中学生やしなぁ。」
親戚筋の言葉が胸に刺さる。
恐らく。。。
今日も飲んでいるのだろう。家には寄り付かない。
家にいないほうがいいのかもしれない。
家に戻るとまた子供を殴るから。。。
こんな生活をいつまで続けるのだろう。
いっそ。ひと思いに断ち切れたら。。。
橋の下の川は車のライトを受けてキラキラ光っている。
「ここから落ちたら。。。」
「おかあさーん!」
大きな声に振り向くと心配そうな顔の長男が立っていた。
「ここにいたのかぁ。帰ろうよ」
「ごめん、ごめん。帰ろうね。帰ってご飯食べようね。」
心配顔の長男に飛び切りの笑顔を作った。
♪お馬のかあさん、優しいかあさん。
子馬を見ながら、ぽっくりぽっくり歩く♪
お馴染みの唄が飛び出した。
「かあさん。音程はずれてるし。」
「そうか。お母ちゃんの小さい頃はこうなろたんや。」
「嘘つけ。」
「あはははは。。。」
いつしか明るい声が戻っていた。
「こっくりこっくり歩くぅ。」
「えりちゃん。。歌詞間違ってるし。。。。」
このウラログへのコメント
親が無償の愛をくれるとは限らない。
ある人と出会って判った。
けどオレは無償の愛を与えたい。
> ひろさん
母との思い出は。
哀しいことが多いけど。
私の宝物なんです。
あの人の愛にいつも包まれていた。
> rousillonさん
お馬のかあさんのように美人じゃなかったけど。
子供への愛情はお馬に負けてはいなかった。
またいつか一緒に歩きたいです。ぽっくり、ぽっくり。。
> rcupさん
良き夫になってください。
良き父親になってください。
無償の愛は難しいけれど。
愛で人は変われる。と信じたいです。
珍しくマトモだろ?(笑)
> hayatoさん
強くなければ、人に優しくなれない。
つまらない人生を送った人でしたが、いつでも笑顔でいてくれた。
この人の娘で良かった。そう思っています。
> こうもりさん
母は強し。ですからねぇ。
私は、本当のあなたの出番を待っています。
> rousillonさん
でしょ♪
写真が下手くそでわかりにくくて申しわけないですが。^^;
満開なったら、また貼り付けます。
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