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初体験-そして再会の成り行き-6

2008年06月02日 16:13

後で思った事だが、最後に会う事になった少し前に、彼女は誰かと結婚する決意が出来たのだろう。そして私との事を吹っ切る為に最後の時間を持ったのだった。

当時は今と違い女性結婚するのが清秋的な目的と考えているのが常識で、昨今の様に出会い系だとかも無論ないし、男女の出会い職場とかある程度限られていた。

彼女結婚して1年程した頃だったか、私が勤めから帰ると玄関に見慣れない男女の革靴が並べて置いてあった。

私は誰かなと思いつつも「ただいま」と言うと
「お帰りなさい」と言いながら母が玄関へ来た。通じようはそんな事はなかったが、そして
「今Cちゃんが旦那さんと子供を連れて見えてるよ」
と言った。
私は内心ドキッとしたのと、どんな顔してその旦那に挨拶すればよいのだろうか。何か目を合わし辛いし、どんな会話をすればよいのだろうと思った。

私は直ぐにはその場に行かず、自室に入り考えていた。

するとそこへ彼女
「Mちゃん久し振りね、元気にしている」
と明るく家中聞こえる様な大きな声で話し掛けてきた。

その時私は女の人ってたいしたもんだ、そしてしたたかだと感じざるを得なかった。

でもお陰でそれに会わせ私も明るさを装い返事が出来た。

そして彼女と一緒に旦那のいる部屋に向かった。

Cちゃんからも私の事は聞いているだろうし、部屋に入ると直ぐに母が紹介したので私も言葉少なげにただ
「どうも」と言っただけで少しだけその場に居て、直ぐに自室に戻った。

とてもこれ以上上辺を装い顔を合わせてられない気持ちだった。

少しして彼女が私の所に来て
「Mちゃん、今彼女居るの?」
「うん」
「大事にしてあげてね」
「うん」
と言って、後は帰り際に
「じゃ」
と言ったのが最後で、彼女が尋ねてきたのもその時だけで、それ以後会っていなかった。

それから少し経った頃、私は会社を替わり、直ぐにアメリカへ赴任、帰国後結婚、そして今度は単身で香港赴任と身辺も慌ただしく、時の過ぎるのも早かった。

私が二度目の香港赴任直前に父が他界。

帰国後2年程した頃、当時私が41歳の時母が他界。
その通夜彼女が焼香に来てくれた。

20年振りに会った彼女には未だ当時の面影が多く残っていた。
帰り際義兄が車で駅まで送ると言うので私は彼女と一緒に義兄の車まで付き添った。

家の直ぐ前は砂利道で、彼女は足を取られ一寸よろけた。
私は直ぐに彼女の身体を抱きかかえ支えた。

その時に遠く昔の彼女との事が思い出さされ、人目がなければその場で抱きしめてたい衝動に襲われた。


争議の後片付けも終った数日後、記帳から彼女の住所を暗記し、数日後会社に出金してから、104で電話番号を調べ直ぐに電話した。
もし旦那が出たら通夜に来てくれた礼を言おうと思っていた。


次章へ続く

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