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No.54.One's

2008年04月14日 19:18

君は 波打ち際 言ったね あなたは孤独すぎるって
それでもリアルに 世の中は過ぎてゆく
ああ この鍵も あの車も 僕には必要ないのさ
サバイバルもロマンティックも 全て空言で
僕に見えるのは 君だけ 平日も休日も関係ないね 流れるだけ

どこまでも どこまでも 鏡に写るのは LOVE さ
あれから 二人 どうなったのだろう
虚栄心も欲も無い 理想もへったくれもない砂漠の中で
今日もまた一人 抱いてしまう そう 抱いてしまう
現実も夢も この世界がまやかしだったら どうなるのだろう
鳥は飛んで行く あの そう 飛んで行く一匹で

どこでもモラルは 世の中は変わってゆく
ああ あの空も その海も 僕はあいたいのさ
嘘でも本当でも それでも真実ではない
君に見えないのは君だけ渡り鳥の様に てんてんと 渡るだけ
どこまでも どこまでも 鏡に写るのは LOVE さ
あれから二人どうなったのだろう
one's これからも一人 このままでいたいよ
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DETECTIVE M 7.魔導
俺と栞は事務所の扉の前で佇んでいる。
病院に栞を迎えに行き、その後まっすぐに事務所に戻ってきた。栞が事務所にまずは行きたいといったからだ。
しばらく零と暮らす事も提案したが、栞自身がここに戻りたいと言ったので俺は止めなかった。
だが、まだ入るのに躊躇いがあるようだ。
深呼吸をした栞は、勢いよくドアを開けて事務所に入っていた。
「ちょっと恐かったけど、私の家はやはりここなんです。」
「そうか。栞、おかえり。」
「龍さん、ただいま。」
俺達はそのまま事務所のソファーに座りしばらく無言のままだった。

「あの、龍さん。」
「なんだい?」
「あの時、何か不思議な力を使って龍さんは私を助けようと、助けてくれましたよね。」
あぁそうか。やはりみられていたのか。
義彦に口止めされていたので、最終的に助けたのが義彦だとは言っていない。
かと言って俺が助けたとも言ってはいない。
だから俺が助けたのだろうと推測したのだろうな。
「あぁ、そうだな。不思議な力を使った。」
少し栞が俯いた。
「あの時、前にも同じような事があったような気がしたんです。最初はなんだろうとしか思いませんでしたけど、何か私の過去に関係する事のような気がするんです。」
「栞、そうか。」
そう、栞は半年前より過去の記憶が全くない。
「私は今のこの生活が楽しいので、記憶がなくても気にしてませんでした。でも、何故かはわかりませんけど、忘れてはいけない、思い出さなくてはいけない事のような気もするんです。」
「そうか。」
「だから、あの不思議な力が何なのか教えてくれませんか?」
俺はしばし、迷った。
「わかった。」
「部屋に鍵かけているのも隠していたかったからなんですよね?御免なさい。」
「確かにそれもあるが、栞が謝る事じゃないさ。」
「でも・・。」
栞の瞳は潤んでいる。
「気にするな。いずれ話そうとは思っていた事だ。」
それは俺の嘘だった。嘘をつくことにちくりと心が痛んだが、栞の悲しい顔を見るよりはましだ。
「あの力は魔導って言うらしい。俺にあの力を教えてくれた師匠の魔渡海恩がそう呼んでいた。まぁ、今はもうこの世にはいないけどな。」
「魔導。聞いた事のない言葉なのに聞き覚えがあります。」
「そうか。俺も栞の過去の事については何も知らないし聞かされてもいない。残念だが。」
「そうですか。」
「だから魔導についてしか話せない。まぁあの力の細かい原理なぞは、説明してもしょうがないだろうけどな。簡単に言えば自分のイメージを何らかの形に変えて干渉するものだな。例えば空気を振動させて衝撃波を作ったり、強烈な光源を作ったり。誰にでも出来るってわけでもないが、修行さえすればある程度の事は出来るようになるだろうな。何よりも大事なのは集中力だ。」
「はい。」
「俺が知る限りでは、他に使えた人間は二人。一人は俺の師匠。もう一人は栞、おまえを俺に託した男。」
「使えた?過去形?」
「師匠は死んだし、おまえを俺に託した男。兄弟子の秋方榮一は消息不明なのさ。生きてるのか死んでいるのかさえもわからないな。」
「秋方?」
「本人曰く栞の兄だそうだ。そうだな、事の発端は半年前になるな、榮一は何かの調査をしていたようだ。東京のどこかから札幌にいる俺に協力を求めてきた。俺は協力を約束して二日後に東京に着いたんだったかな?事前に聞いていたホテルにいってもいない。それで携帯に電話をしてみるが圏外。
それから5時間位した頃に、榮一から着信があった。声は息も絶え絶えで自分の居場所をつげて、そこで通話は途切れた。その後何度かけ直してもコール音がするだけだった。
土地勘がないので俺もはっきりとは覚えてないが、つげられた場所の近くで倒れている男と泣いている少女を見つけた。
道というのもおこがましい程の細い道だったな。
血まみれで意識を失っている榮一と栞おまえがいたのさ。」
俺は一息をついて煙草に火をつけた。
「榮一は生きているのがやっとな状態だったな。俺はわけもわからないまま、救急車を呼んだ。栞は、衰弱はしていたが特に外傷もなかったそうだ。榮一は生死の境目を彷徨っていたが、ある日榮一は病室から消えていた。龍人、栞を頼むという手紙を残してな。それっきり消息はわからないのさ。それから一月もしたある日、覚えのない振込みが通帳にあった。調べると榮一の探偵事務所だった。かなり大きい事務所のようだった。その事務所に何度か電話したり訪れて話を聞きだそうとしたが何も答えてはくれなかったよ。何も知らないのか隠してるのかはわからないがね。」
栞は俯いたまま何も話さない。
まぁ、聞いても余りうれしい話ではないのは確かだな。
焦点がぼやけているようで栞はふらりと立ち上がり自分の部屋に歩いていった。
「栞?」
御免なさい。余りにも突飛な話で何を言えばいいのか混乱してしまって。一人で考えさせて下さい。」
そう言って部屋にこもってしまった。しかし、俺には気の聞いたセリフの一つも言えなかった。
「やるせないなぁ。」
そう俺は一人呟いた。

――――――――――――――――――

夜眠れないまま朝方まで覚醒していた俺は事務所のソファーでそのまま寝入ってしまったようだ。
栞がかけてくれたのだろうか?毛布がかかっている。
窓の外を見ると昼頃にはなっているようだった。
寝ぼけ気味の頭で居間に移動した俺を待っていたのはいつもの栞の声だった。
「龍さん、おはようございます。」
「あぁ、栞、おはよう。
なんとも間の抜けた声なんだろうか俺は。
「もう昼ですよ。ご飯食べますよね。」
「あぁ。」
「龍さん、昨日は御免なさい。そしてありがとうございます。何があったのか知りたいのか知りたくないのかもわかりませんけど、話してくれて嬉しかったです。昔の記憶がないのは少し悲しいですけど、いつか真実に辿り着くと思って前向きに生きていたいと思います。」
「そうか。」
その言葉、今の自分には少し痛いな、そんな事を思いながらまたいつもの日常がまた始まった。
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