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No.50Hate and Love

2008年04月10日 21:14

タバコを一本取り出して 煙を漂わせながら
飾られた 自分自身に軽蔑をおこし
意味のもたない 歌に 答えを求める

アクセル全開にして 高速突っ走る Runaway
君を忘れる為に でも忘れられず
愛は愛でなくなり 憎しみに変化してゆく
そんな快感 楽しみながら risk が増えてゆく
looks だけが 選ぶ理由じゃない その髪もその口癖も
なにもかもsadness 今までの現実にsorrow

愛し愛され愛し尽くした だけど 振り向く事のない my girl
恋し恋して恋をしたのに 軽く蹴り落された
ガラスのごとく砕け散り 再起もかなわず
君は消滅した いや 消え去ったのは俺か?

Love 必ず勝てるとは限らない
Love 負ける事もあるのさ
Love そんなとき傷つき倒れても
Love もう一度 立ち上がろう
Love希望を持って前へ Love
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
DETECTIVE M 3.着信
事務所の鍵を閉めて、コート事務所の長椅子に投げ置いた。
居間に移動した俺を迎えたのは栞だった。
「おかえりなさーい。」
「ただいま。」
「今日も一日お疲れ様でした。夕飯もうすぐ出来ますのでお待ち下さいね。」
そう言って栞は台所に消えていった。
おそらく夕飯を調理している途中で俺が帰宅したのだろう。
俺は携帯を取り出し何箇所かに電話をしてから、一息ついて煙草に火をつけた。

テレビのスイッチを入れて取りとめも無い思考のまどろみに入り込んでいた。

そもそも三剣紫苑はこの探偵事務所をどうやって知り得たのだろうか。
表の世界の人間には知る由もないはず。
それに、どう見ても16歳か17歳、少なくとも20歳にはなっていないだろう。
そんな少女が何処だかの会社にいるのもナンセンス過ぎる。
なんで今までそこに思いいたらなかったんだろうか。
ぐうたら生活の成果かもな。
自嘲気味に笑みをもらした。

このまま何もなければ、それが一番だが一応事後対策の為に出来ることはした。
栞が台所からお盆にのせて何かを持ってきた。
俺はそれを受け取りテーブルに置く。
ライスチーズがのったハンバーグに添え物のマッシュポテト、野菜入りの洋風っぽいスープか。栞は一体どこで料理を覚えてきたんだろうか。
料理を教えたあいつは、和と中華にかたよっていたはずだが。

「龍人さん、お茶はいりますか?」
「あぁ、お願いするよ。」
「はーい。」
そう言って台所に行って二つお茶入りの湯呑を持ってきた。
とりあえずはこの目の前の料理を平らげるとするか。

――――――――――――――――――

夕飯を食べ終わった後、俺と栞は片づけをして、居間で二人で取りとめもない会話をしていた。

ふとポケットが震えた。職業柄常にバイブにしているのだが、そのまま解除するのを忘れていたようだ。
「栞、すまない。電話のようだ。」
「はーい。」
そう言って懐から俺は携帯を取り出した。
液晶を見てみる。
画面には、鬼所漸次と表示されていた。
刑事時代の同僚で漸は今も現役の刑事高校からの悪友だった。
「久しぶりだな漸。あいかわらず頭脳労働は苦手なのか?」
電話にでるなり開口一番俺はそんな軽口を叩く。
あいては苦笑しているようだった。
あいかわらず減らず口は直ってないようだな。安心したぜ。」
やれやれ、お前に安心される筋合いはないんだけどな。」
「ぐっ!久しぶりに電話したのにその言い草かよ。」
「それで、わざわざ携帯に電話して来たからには何か用があるんじゃないのか?」
「用がなきゃ駄目なのか?ふとお前と話がしたくなっただけだ。」
「わかった、何処にいけばいい?」
「いつもの店にいる。」
「わかった。」
そこで通話は途切れた。
「栞、悪いが出掛けて来る。」
「はーい、漸次さんですよね?相変わらずのやり取りでしたから。」
と栞はくすくすと笑っていた。
栞と暮らすようになってから何度も漸はここに来ていたからな。まぁ、栞がいる前からだったが。
それが来なくなったのはいつからだろうか?
俺はいつもの店に早足で向かった。

――――――――――――――――――

三井さん、いらっしゃいませ。」
「秋菜ちゃん、こんばんわ。」
彼女吉本秋菜、ここ喫茶&バー白い雪ウェイトレス
俺と漸はここの常連でありオーナーとは高校時代からの付き合いだ。
カウンターで漸が軽く手をあげた。
俺は漸の隣りの椅子に腰を落ち着けた。
漸はまだ仕事中なのだろう、コーヒーを飲んでいるようだ。
「龍、ひさしぶりじゃないのさ。」
「あぁ、零、久しぶりだな。」
彼女はここの女性オーナーで俺と漸と三人は高校時代からの付き合いである。
「龍はビールでいいの?」
俺は横目で漸を見てどうするか数瞬躊躇した。
「龍、俺の事はきにするな。」
「あぁ、じゃぁビールを頼む。」
「了解。」
零はカウンターの奥へ消えていった。
しばし二人は無言。
無言に堪えかねた俺はストレートに聞いてみる事にした。
「漸、一ヶ月ぶりぐらいか。突然連絡もよこさなくなってどうしたんだ?」
「あぁ、いろいろと忙しくてな。」
「そうか。」
「最近は物騒で難解な事件が多くてな。」
「そうか。」
なんともいえない空気を壊してくれたのは零だった。
ビールお待ちどう。あとこれお通しね。折角三人久しぶりにそろったんだからそんなやるせない顔しないでくれる?」
「あぁ、そうだな。」
「すまん、龍、零。」
「謝る事はないさ。」
「ち、呼び出しか。」
漸は懐の携帯をとりだした。
「あぁ。どうした?そうか、わかったすぐ向かう。」
「漸、どうした?」
「わりぃ、呼び出しだわ。」
「そうか。しょうがないだろ。」
「すまねぇ、龍、呼出しておきながら。時間とれたら昔みたいに飲み明かそうや。」
「そうだな。」
「零、わりぃ勘定してくれ。いくらだ?」
「なんだ、もう帰っちゃうの?今度ゆっくり来てね。」
「あぁ、今度な。」
「秋菜ちゃん、漸の会計お願いね。」
「はーい。」
秋菜ちゃんはいつもの明るい声で受け答えしている。

ふと見渡してみると店内はほぼ満員になっていた。あいかわらず繁盛しているのか。
俺は一気にビールを飲み干した。
「零、れんとあるか?」
「もちろん、あるわよ。」
「ロックでくれ。あと適当につまめる物もくれるかな。」
「了解。」
そう言って零は厨房に消えていった。
煙草に火をつけて、なんとはなしに俺は思考にまどろんでいた。

「龍、お待ちどうさま。御免、ちょっと忙しくなってきたから落ち着くまで話相手になれそうもないわ、ごめんなさいね。」
「あぁ、俺の事は気にするな。」
「ありがと。」
そう言って零は視界から消えていった。

しばらくしてあまり長居するのも悪い気がしてきて、ちびちび飲んでていたれんとを一気にあおった。
携帯のバイブがなっている。普段は液晶画面の表示を確認してからでるようにしているが、確認もせず俺はでてしまった。
三井龍人、事務所に戻りなさい。いますぐ。」
俺が反応する間もなく通話はそれだけ言って切れた。
着信履歴をみてみたが発番は無。
今の声どこかで聞いた事がある。それもつい最近。思い出すまでしばし時間を要した。
十秒ぐらいたったのだろうか。閃く様に思い出した。あの声は、三剣薊か紫苑かはわからないが、三剣三姉妹の声だ。
しかし、事務所に戻れとはなんだ。
何となく嫌な予感がした俺は会計を済ませ店をあとにした。
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