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Amy(エイミー)

2013年04月24日 23:36

Amy(エイミー)

僕はその時、猫と暮らすことなんて考えていなかった。

仕事が忙しくて、家にいられる時間が少ないから、飼われる側がかわいそうだ。

それに色々と面倒だろうし…

なのに、僕はその時、動物愛護協会の猫コーナーなんかに来てたのだ。

女の子に振られて、ちょいとくさくさしている時に、彼女ルームメイトに猫を飼うことを勧められ、引っ張られてきたのだ。

彼女は僕の「くさくさ」の理由を失恋後の淋しさだと思っていたのだけど、僕は淋しくなんてなかった。前のカノジョが次に選んだのが60過ぎのじーさんだったことにイラ立っていたのだ。

そんな中で色んな猫を紹介されたが、僕は一匹一匹に難癖をつけて「気に入った子、いません。また来ます」と言って帰ろうと思っていた。

僕はかなりの猫好きだから、どの猫も可愛かった。でも、飼う気にはなれなかった。

終業時間が近づき、係員もちょっとイラつき始めていた。チャンスだ。

と、思ったら、それまでおりの中で寝ていた猫が出てきて、一直線に僕のところに来て、僕の足にじゃれついたのだ。

大きな、きれいな緑色の目をした美猫だった。9カ月。タグにはAmyの名が…

僕はその場で、Amyをもらうことにした。何故か知らない。もらわないではいられなかったのだ。

僕がAmyを選んだんじゃなくて、Amyが僕を選んでくれたのだ。それが何よりも嬉しかった。

19969月23日のことだった。

それから16年半、彼女はこんな僕にずっと寄り添ってくれた。寝る時には、まず僕の手を枕にして10分ほどごろごろと甘えて、満足すると、僕の足元のお気に入りの場所に行って眠った。

でも、僕はそんな彼女を置いて、家出してきちゃったのだ。もちろん、彼女のことは心配だったから、ちゃんと面倒を見てもらうように頼んだ。高齢だったから、何よりも彼女の健康が気がかりだった。

僕が家出してから1カ月半ほどした頃、彼女は腎結石を患ってしまった。

看病するために香港に戻る手配をした。Amyに対して済まないという気持ちでいっぱいだったから。

でも、大阪を発つ前日に、彼女は大御神さまに召されてしまった。

最期を看取ってくれた人によると、彼女はもう、息も絶え絶えなのに、目を閉じようとしなかった。僕が電話で話しかけるのを聞き終わると、安心して目を閉じた。

最期まで僕のことを想ってくれいていたんだと思うと、彼女に申し訳なかった。

それから今日でちょうど1カ月、Amyとの最初の出会いを思い出し、涙が止まらないでいる。

Amy、ごめんね。高天原(たかまのはら)で月読さまに可愛がってもらってね…

In the memory of Amy, myfaithful felinelove...

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