誠意の欠如

先日19日土曜日。昼食に車で出て、その帰り道。
会社に数分で着く程度の所にT字路の交差点で赤信号で停止した。
何気なしに目をやると対向車線の中程に何やら落ちていた。
よく見ると青い子供用の野球のグローブだった。
私は躊躇無くドアーを開けその方に向かった。丁度一台対向車が来たので、それを見送ってからグローブを拾い車に戻った。
既に信号は青に変わっていて、私の車の後ろには数台の車が待っていたので軽く手を上げて、車に乗り込み発信し会社に戻った。

グローブの手を差し込む辺りに平仮名で苗字と子供のと思われる名前が書かれてあった。
グローブは未だ真新しく、買ってもらったばかりの様だった。
私の住んでいる市はさほど大きくないが、その苗字の家は3,40軒程あり、しかも下の名前は子供の物だろうから電話帳では解らなかった。

一応拾った場所に比較的近い家を選び6軒程掛けて
｢私は同市に住む者ですが、先程子供用の遺失物を取得しましたのでお電話したのですが、お宅にＯＯＯ君と言うお子さんはいらっしゃいますか」

2軒は不在でしたが、その他の家には同一名の子供は居なかった。
何軒かに電話している途中で"何か変な人からの電話"と言う感じにとられている様にも感じて私から直に電話をするのは止めた。

一応警察に届けようかと思ったが、警察の場合は落とし主から届出が無いと本人には届かないし、親御さんにしてもそう高額な物ではないので届出するかどうか疑問だった。

少し考えた末、市役所に持っていけば、そこには住民票もあるし落とし主が解るのではないかと思った。
しかしその日は土曜日の午後で市役所は開いていない。
仕方なく土日を過ぎ月曜日の朝、市役所に持って行った。
そこで私が警察ではなく市役所に持って来た訳も付け加えて帰宅した。

すると翌日の今日、届出した会社の電話が鳴り、取るとそれは警察からだった。
私は市役所に届けた理由を説明し「市役所って何で誠意が無いんでしょうね」と毒付いた。

電話が切れてから、何となく憤懣やるかたない怒りにも近いものが込み上げてきた。

私をも含め市役所の人、警察の人から見れば何て事の無い低額な遺失物だが、落とした子供にとっては我々が感じる以上に大きな事だと言う事を忘れて欲しくない。