パピヨン

私の近所は一軒家が多いせいか、飼い犬がたくさんいる。仕事帰りには犬の散歩をしている人たちをよく見かける。どうも、散歩コースにしやすい道らしい。

そんな犬の散歩をしている人たちの中の一人とは結構前からお知り合いだ。
犬がつなぐ、ご近所づきあい。
うん。ほのぼの。
その人はおじいちゃんで、犬の散歩というよりは自宅の近所を犬と一緒にうろうろしているといったほうがあたっているかもしれない。本当によく会う。
その犬はとてもかわいい。ロン毛でお目メぱっちり、時々耳の毛をリボンで結んでたり。人懐っこくてめったにほえない。かまい易い中型犬だ。

とある日のそのおじいちゃんとの会話。

私「そういえば、この子はなんていう種類の犬なんですか？」
おじいちゃん「パピヨンですよ」
私「・・・・・・・（絶句）」
パピヨン？って、小型犬で、もっとすらっとしてるのでは？

そう。その犬はデブい。最初は毛が長いのでそう見えるだけかと思っていたら、ほんとにたっぷりお肉がついていた。顔と手足は犬だが、胴はパンダだ。
どう見たってパピヨンには見えない！
そんな私の内心を察したのか、おじいちゃん、
「今パピヨンといわれているのは、品種改良をされたものなんですよ。このこは品種改良されていないむかしっからのパピヨンなんです。少し太ってますがね。昔はね、フランス貴族が愛玩していて・・・・うんぬんかんぬん」
ほー、そうなんだ。豆知識がひとつ増えたぜ。
でも、さすがは飼い主である。自分の飼っている犬の品種に関する知識はものすごかった。そして話も長かった・・・・・

今朝。
またその品種改良されていないパピヨン君に会った。
彼は私を見るとビヨンビヨンと飛び跳ねて……
なんだ！？こんな飛び跳ね方、はじめて見たぞ！と驚いていたら、てってってーと私の方へよってきた。

おじいちゃん「あなたに会って、こんなに喜んでますよ」

う・・・嬉しい。
体、重いだろうに、こんなに飛び跳ねて私と会ったことを喜んでくれたのね！
愛しさ倍増である。

しかーし、私はいまだにこの子の名前を覚えてないっつーのは、どうしたもんかね。