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三笑亭夢之助

2007年11月04日 20:37

 9月島根県安来市民会館で開かれた市主催の敬老会で、落語家の三笑亭夢之助さんが舞台に立つ手話通訳者に対し「気が散る」「落語は話言葉でするもの、手話に変えられるものではない」「この会場は聞こえる方が大半。手話の方がいると気が散る」などと発言した事に対し、県ろうあ連盟は「聞こえない人に対する侮辱」と抗議をしたんですよ。

 当日は聴覚障害者3名を含む約250名が来場していたらしいのですが・・・



 本当はこの記事について10月31日にも一度書いたんですけど、どうも真意が伝わりにくい気がして投稿する直前で止めたんですよ。でも昨日のように車社会での話をした後なら多少は言いたい事も伝わるかな?って想いで改めて書いてみます。


 そもそも何で自分がこの記事にそこまで拘るのかと言うと、この件に関する意見を述べているブログの大半は「夢之助って最低」って感じで書いている事へ疑問を感じるからなんですよ。夢之助の事を最低と言い切るブロガーって、本当に自分がその立場になった時にも同じ事を言えるんだろうかと・・・

 自分も喋りを職としている者の発言としては、もうちょっと上手い表現だって有っただろうと思いますし、内容的にも障害者への配慮に欠けてるなぁとは思いますよ。でも発言の趣旨は、ある意味プロとしては当然の発言だとも思っています。


 
 今回だって確かに聴覚障害者にも落語を楽しむ権利は有りますよ。実際には手話で何処まで落語が理解できるものかは解りませんけど、場の雰囲気を楽しむって事だって楽しみ方の一つですからね。でもね・・・それと同じように健常者にも楽しむ権利は有ると思うんですよ。

 これはニュース等における「知る権利」とは違い、今回は落語つまり娯楽なんですよ。敬老会って言うくらいだから多分お年寄りが中心だと思いますけど、そのお年寄りたちだって落語を楽しみにしていた訳で、その楽しみを半減させてしまう状況ならプロとしてひと言言うのも当然だと思いますよ。

 普通このような場合にお客さん側が抗議する事は多分無いでしょう。手話通訳の人に対して文句を言う程でも無いけど、邪魔と言われれば確かに邪魔だなとは思ったはず。それを夢之助さんが代弁しただけの話だと思うんですよね。

 当然夢之助さん自身も自分の脇で通訳している通訳者が余程気になっての発言だと思いますよ。自分が座っているすぐ傍に立たれたら気になって当然でしょうし、プロだからどんな状況でも演じなきゃじゃ無くて、プロだからこそお客様の為に拘りたかったんじゃ無いのかなって。



 あるブロガーは「字幕付きの映画を観ているのと一緒でしょう」なんて事を書いてましたけど、自分は違うと思いますよ。洋画日本語字幕が出ているのなら自分も気にならないと思いますけど、今回のケースを映画に例えるなら日本語の映画に自分の全く解らない例えば○○○語の字幕が出ているようなもので、自分なら気になってしょうがないですよ。手話だってその会場に居たお客さんの殆どは解らなかったはず。抗議する程では無くても気になってしょうがないってのは本心だと思う。

「みなさんも気が散りますよね。みなさんが良いとおっしゃるなら構いませんが・・どうなんでしょうね?」と語りかけると会場からは苦笑いが起こったらしいですが、これがつまり会場全体の雰囲気というか、お客さん通訳者に目が行ってる自分に気づいての苦笑いじゃなかったのかなって気がします。



 改めて言いますけど決して聴覚障害者落語を見ちゃいけないって事を言ってる訳では無いんですよ。少なくても今回のケースでも聴覚障害者3名に対して手話通訳者も3名居た訳ですから、もうちょっと上手に運営すれば問題だって起きなかったと思うんですよね。

 ろうあ協会にしても主催した市や落語協会に対して抗議する気持ちも解ります。でも実際に手話通訳された方については何ら触れていないんですよね。市主催の行事となれば当然通訳者本人もボランティアでやっている訳では無いでしょうから、通訳のプロとしてその場の状況判断やその方法が正しかったかの疑問だって残りますよ。事実夢之助さんは気が散った訳ですからね。

 そもそも派遣された手話通訳者だって普通はろうあ協会と密接な関係に有るはず。実際に落語手話による同時通訳をする場合にはどういった形で行えば良いのかって事も一緒に考える立場に有ると思うんですよ。事前に手話通訳が付く事を夢之助さんに伝えていなかった事を主催者である市の責任のように抗議してますけど、本当に手話落語を楽しんでもらおうと思う気持ちが有ったなら、協会なり通訳者なりが事前に夢之助さんと打ち合わせるべきだったと思いますよ。

 だって講演などでは無く落語手話で表現しようとするなら、多分それって相当難しい事だと思うんですよ。言葉の抑揚やテンポ、それに言葉と言葉の間など芸と呼ばれるからにはそれなりのものが有っての事。打ち合わせ無しにいきなり手話通訳したって落語とは全然別のものになっていたとすら思いますよ。少なくてもその難しさは市の職員なんかよりは、手話通訳者や協会の人の方が解っていたはずですからね。



 実際に演じる者の感情や、他のお客様を無視して自分達のやり方は常に正しいという決めつけは、やっぱりどこか間違っていると思う。そういった意味ではろうあ協会も自分の事は棚に上げて・・・と自分は感じてしまうんですよね。





 話を戻しますけど・・・個人的には夢之助さんの発言が良かったとは思いませんし、配慮に欠けていたと思います。だけどもサイテーと言われる程のものでも無いし、まして協会もわざわざ抗議する程の事は無かったと思いますよ。

 日本は弱者に対する援助に限らず、福祉や医療などでもまだまだだと思う事は多いですよ。でも自分の権利だけを主張していても、なかなか理解だって得られないのが現実だと思うんですよね。時には抗議も必要でしょう、でも・・・やはり善意が心からの善意であるうちが、みんなにとって一番の幸せだと思うんだけどなぁ。



 いろいろ考えた末にやっぱり夢之助は最低って感じるなら、それはそれで良いと思うんですよ、考え方は人それぞれですからね。

 だけどそこに至るまでの背景を無視して、ただ単に発言した言葉だけをもって最低と言うなら自分はちょっと違うんじゃないの?って気がしますね。

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