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孤独の淵から(5)

2022年11月26日 23:12

前回からの続き

家庭での居場所がない中、中学高校部活に励み、友達づきあいはほとんどなく、無難にすごした。

今思い返せば、両親が僕の部活の試合を見にきてくれたことはなかったような、、、

前回書いたように、大学受験は1人で望み、かなり頑張って第一志望に合格できた。
それは、高校部活を3年の夏まで続け、第一志望に受かったことは、僕にとってかなりの自信になった。

意気込み高く望んだ大学生活では、いろんなタイプの学生と知り合い、アルバイトも始めて自分のお金も増えて、僕は、どんどんと世界を広げていった。

それまでの窮屈な世界からジャンプして、自由を手に入れたような感覚だった。

しかし、やはりこれまでの経験不足から人付き合いでつまづくこともあり、あちこちぶつかりながらフラフラと飛んでいたような感じだった。

そんな中、初めての彼女ができた。

同級生の、それまで触れ合ったことのない、都会的な雰囲気の子だった。

デートもして、手を繋いだり、肩も抱いて、バレンタインチョコ誕生日プレゼントももらった。

楽しかったし、幸せだった。

でも、

何かが心に引っかかっていた。

彼女を受け止めきれないような、
自分を彼女に預けられないような、、、

デート終わりのある日の夕暮れ、公園を2人で歩いていて、ふと、彼女がこちらを見て、軽く目を閉じた。

あ、これは、キスの場面か、、、

しかし、僕はそれ以上身体が動かなかった。心は閉ざされてしまっていた。

数秒後、彼女は悲しげにうなだれ、僕に背中を見せた。


それから少しして、僕たちは別れた。

「あなたは自分のことで精一杯なのね」

最後に彼女にこう言われたような気がする。

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