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孤独の淵から(13)

2022年12月14日 19:42

前回からの続き

Rさんの部屋で僕は、Rさんの肩を抱いた。

ここまではKちゃんの時にもできていたんだ。
きっと僕は、そしてRさんの気持ちに応えるためにも、その先に一歩踏み出さなくてはいけないんだ。

僕は、うつむいているRさんの横顔を見つめた。
そして、その柔らかそうな頬にキスをした。

Rさんは顔を上げてこちらを向く。

すると、まるでそうすることが初めから決まっていたことのように、2人はお互いに唇を合わせ、長く深い口づけを交わした。


窓の外は、夕暮れで赤く染まっていた。


口づけの後、僕は、なんだか、頭の芯が痺れ、Rさんの胸にもたれかかった。

あれ、こういう時は、男の僕が女性を胸に抱くのかなぁ、とぼんやりした頭で思ったが、身体に力が入らなくなっていた。

Rさんはそんな僕の頭や背中を優しくさすってくれた。

と、その時、

不意に僕の胸の中から光が差し、頭の先まで突き抜けていった。
そして、胸の奥に閉じ込めていた思いが堤防が決壊したようにあふれてきた。

そして、突然、思いが言葉となり、僕の口を使って、誰かが叫んだ。


「あーー、おかあさん!
ぼくをおいていかないで!!
ひとりにしないでー!!」


その言葉を聞いて、僕は思い出した。
それは、夕暮れの部屋でひとりぼっちで寂しい心を抱えていたあの時。
あの時からずっと胸の奥にしまい込んでいた言葉だった。


つづく

次回、このお話の最終回です。

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