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孤独の淵から(14) 終

2022年12月15日 10:57

前回からの続き

「シュージ君?大丈夫?」

どれくらい時間が経ったかのだろう。
Rさんの声が聞こえ、ぼんやりとした頭で目を開くと部屋はすっかり暗くなっていて、僕はまだ、Rさんの胸に抱かれていた。

「あ、ごめんなさい」
「うん。大丈夫?」

それから、僕はゆっくりと身体を起こし、少しずつ思いを語っていった。

Rさんはじっと話を聞いてくれた。


僕の心の奥にあった埋められない穴、その薄暗い淵には、あのひとりぼっちの男の子がいたのだ。

Rさんと一緒にそれを見つけられた。
心の中の闇は晴れて、男の子笑顔になった。

しかし、男の子は消えてなくなりはしない。
ずっとそこに座り続けている。

きっと、あの時の気持ちを抱えたまま僕は生きていくのだろう。

でも、今は、僕は知っている。
僕自身がそれを知っている。


終わり


**********

あとがき

ここまで、長い話を読んでいただいてありがとうございました。
最初に書き始めた時は、4話ぐらいまでが構想にあったのですが、実際に書いてみたら、それだけだと救いがないなぁ、と思ってここまで書き上げました。
基本的に1話ずつ書いていったので、あとの展開がわかっていれば前の表現をさらに工夫することもできたかもしれませんが、まぁ、こんなもんでしょう。
ここに書いたことはほぼ実体験なのですが、Rさんはこれまで関わってきた何人かの女性の要素を混ぜ合わせたキャラクターになっています。
また、(13)の僕が叫んだことは実際にあったことですが、そのシチュエーションは実際とは違います。

では。

このウラログへのコメント

  • 睡蓮 2022年12月15日 21:26

    よくわかりませんが、過去に何か深い闇があったのでしょうか?

    なんとなくですがなるほどと考えさせられました。

  • シュージ☆ 2022年12月15日 22:51

    > 心美さん

    よくわかりませんでしたか。
    まぁ、自己満足で書いたのでよいのですが。第一話でのエピソードが最後の場面で回収された形にしました。
    コメントありがとうございましたm(_ _)m

  • みあこ 2022年12月16日 21:05

    とても読み応えがありました!
    子どもの頃の辛い体験が胸を打ちました。フィクションかと思ってしまいますが、実際ご経験されたことなんですね。子どもの頃の傷は癒えても、ずっと残りますよね。

  • シュージ☆ 2022年12月17日 00:12

    > みあこさん

    コメントありがとうございます。実体験を基にしたお話です。普段は記憶の彼方にあることでも、不意に思い出されたり、奥底に眠っていたりしますね。今でも夕暮れは微妙に怖い気もします。

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