会津の女狩り　2 藩士の家に押し入り

会津若松城下に通じる白河峠に奥州討伐軍の15000が襲い掛かった
会津兵は奮戦するも米沢藩兵の逃亡などで敗走　100日に及ぶ白河口が官軍の勝利に終わった

「おい，白河が落ちたぜ・・」
ここからは４里ほどしかない　砲声がやんだから落ちた証拠だ　
「城下に押し寄せるのはもう４日　5日とかかるまい　いや、もっと早いかもしれんぞ・・」

季節は8月だ・・うだるような暑さだ　昼下がりに握り飯を食い　味噌汁を流し込むようにしてかきこむ
腹ごしらえだ

埃と汗やら垢とでまさに乞食姿　平助も金次も裸同然だ・・

クソ暑くてやりきれんのお・・食ってから　川の水で咽を潤して　桶の水を頭から被った

よおし　やってやるぜ・・」

二人は奮い立ち武者震いだ

荷車に筵と縄を放り込んで目標の村に向けて出発した　

武家と農家が混在し　若い美女がいることは確かめてある　平助は藩士の娘　
金次は　町家の娘である・・

目指すはその拉致した2人を嫁にして
実家のある隣の磐城藩に逃げ込めたら大成功なのだ・・

官軍が迫る中二人はヒヤヒヤしながら命懸けだ・・会津兵は籠城しているとは聞いてはいるが・・山賊もいれば　
野盗だってウヨウヨ・・戦死した兵から武具などを奪い　売りさばくというハゲタカが出没しているのある

ガタガタと道なき道を必死に荷車を走らせた・・

一か八かの　娘かどわかしのクソ勝負だった

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村に到着した

出発から数刻は経過している　足が棒だ・・草鞋は破れ　足の裏から血が噴き出す

夕闇が迫っている　へとへとだが　休んでられない　痛いなんて言ってられない

20数軒が点在しているが　静まり返っており　犬の遠吠えと鶏の羽の音ぐらいしか聞こえない　
どの家も雨戸が閉められ警戒しているのだ

最初は藩士の家だ　生垣に囲まれ　門構えも立派で　村はずれにある・・

平助と金次は荷車を門の正面に横付けをし生垣をひょいと乗り越え入り口の引き戸をこじ開けた
事前の下調べでは　中には藩士の妻と　藩士の父親　そしてその娘しかいないはずだ・・

入った瞬間　匕首を向けた女が仁王立ち・・

何者だ！　盗人か！人の家に勝手に進入するとは、許しませぬ！

おい油断するなよ！平助は目配せした。

金次は身構えたが　平助は40前ぐらいのその女に話しかけた

女、わしはな会津藩士だ　白河口の戦いで敗れ　このありさまよ　城下に戻る途中だが　炎天下で
咽が乾いて水を所望したくてな・・どこも閉め切って開けてはくれぬのだ・・

嘘を申すな！　その身なり　その風体　とても藩士とは思えぬ　下賤の百姓であろうが・・！

ボロ布をまとって縄ふんどし一丁の姿だ　月代にはぼうぼうの毛が生え　無精ひげなんて生え放題

髷もない　落ち武者よりひどい顔だ　一目見たらわかるってもんだ

女に一蹴された

お内儀　信じないのも無理はなかろうが　ホントの話よ・・とボロ布を外した
そこには　昔、木から落ちてケガをした傷跡である・・鳥羽伏見の戦いで受けたと嘘800

女が傷跡を見た瞬間隙が出た・・金次は襲い掛かり　鳩尾あたりに思い切り一発食らわせたら　呻きをあげて
倒れこみそのまま気絶した・・

土間から草履のまま　駆け上がるようにして部屋を探す・・
5つの部屋がある大きめの屋敷だが逃げ隠れする暇などないはずだ・・

じじいが刀か槍を持っているから二人一緒に慎重に探す・・
奥まった部屋に襖があり布団部屋のようだ・・
人の気配がした　

おい、出てこい！居るのはわかってるんだ！
出て来ぬと　刺し殺すぞ・・と脅すと　襖があいた　爺と娘が見えた

狼藉者め　うぬらは百姓の下賤者であろう！

刀を抜こうとするが　よぼよぼだ・・

あはは　じじい、威勢だけはよいのお　と平助は嘲笑し　じじいの頭を蹴り上げた・・
後ろに卒倒した・・

娘を見た　すげー美女だ～～天下一といわれるだけある！・・二人はそう思った

ち、近寄るな　下郎！　舌を噛み切りまする・！・・・わなわなと唇を震わせ　胸には短刀もっていたが・・
手にする余裕がない

平助は　18歳ぐらいと思しき　その美しい娘に飛び掛かり　口に布切れを咥えさせた　死なれたら元も子もないからだ・・
着物をはぎ　襦袢一枚にして娘を担いで出た　手足を縛り荷車に載せて　筵をかぶせれば一丁上がりだ

よし、次は町家の娘だ・・
金次がダイコンやニンジンといった野菜を行商に来て知っている娘だ　この娘も相当の美女だ
むろん向こうは知ってないが・・