林さん更生旅行-　届いたよね？

「じゃあ　あなたが手に入らないなら僕は死にます」

「はい・・・？」

「僕は本気で　命がけで望みます　だから　僕と」

理解してないっていうか　根本が抜けてるよ・・・

「死ぬのは勝手だよ　好きに死んでいいよ・・・」

「えっ、ぼ、僕は本気ですよ」

「本気だと思うよ　でも　わたしの法則とかいうのかな

それに当てはまらないし・・・」

「どこがです？」

「林さんか本気で望んでるのはわかったよ

でもね　わたしも林さんと同じこと望んでるの・・・？」

「えっ、それは」

「望んでないから　応えられないし

もし　わたしが拒んで　林さんが死んじゃって

責任がわたしにあるっていうなら　その罪

死ぬまで背負い続けていくだけのことだし」

「その責任　すごい軽く考えてませんか？」

「考えてないよ　多分　罪悪感に押しつぶされちゃうかも

でも　わたしは1人じゃないから」

「えっ？」

「ちあきがいるから・・・」



「ひっく、ひっく」

って　泣き出すし・・・

この子は　恋愛に関しては子供だな・・・

まあ　マニュアル通りのえっちといい

とにかく頭で考えて生きてきたんだろうな

さっきも理屈じゃないとか言ってたけど

その言葉に重みが感じられなかったのも

頭で覚えた言葉でしかなかったから・・・

わたしたちの理屈じゃないは

正直　なんでこんなことしてるのか

自分たちでも実はわかってなくて・・・

あとで　理屈付けしてるだけだしね・・・



「ひっくひっく　　」

なんか　泣いてる子供を犯してるような・・・

妙な気分だけど・・・

泣くだけなけばいい・・・

泣いてたって時間は止まらない・・・

泣いてたって何も変わらない・・・


パシンッ

泣いてる林さんの頬を挟むように叩く・・・

「ひっ　　」

「林さん　大人になりなさい」

「ひっく」

「大人になってもっともっといい男になりなさい」

「ひっく」

「わたしの言葉が聞こえる・・・？」

林さんが泣き止む　そして真剣な顔になる・・・

そう・・・

届いてるよね・・・

わたしの本気の言葉・・・

月並みな言い方だけど・・・

はたから見たら

こんな真面目な話が成り立つような状況じゃないけど・・・

泣きじゃくる若い子の上になって

腰を動かしながら言う言葉じゃない・・・

でも　そんなこともどうでもいい・・・

それだけ　わたしは　本気で思ったままの言葉を伝える・・・

自信もって言うよ・・・

君が今まで聞いた　どんな重みのある言葉より

今のわたしの言葉は重い・・・

「ゆうり、いえ　ゆうこさん」

「もう　大丈夫だよね・・・？」

「はい　」

うん　かぼそい声だけど

今までで一番力強いよ・・・

「最後に　んっ」

林さんの口をふさぐ・・・

「一番じゃないよ・・・」

「はい」

「この瞬間だけだよ・・・」

「はい　それでもいいです」

「うん・・・」

「愛してます」

「うん・・・」

林さんを起こして向かい合う・・・

「ゆうこさん　愛してます」

両手　両足をめいっぱい開く・・・

そして林さんのが中に・・・

やがてわたしの中に広がる・・・

わたしに覆いかぶさったまま　

まだ　息が荒い林さんの耳元に囁く・・・


　　　　　　　　　　わたしも　　　・・・　　愛してる