事件3

家に帰ってその前の晩ほとんど眠れなかったので
ちょっと寝ようと思って横になったけど
眠れなかった


目を閉じても
開いても

見えているのは彼の面影だけ

しかも
想像の彼は罵倒され虐げられて行く

あたしのせいで

ゴロゴロと別途の上を
のたうちまわった







お風呂も入って
ようやく本格的に寝ようとしてた夜12時過ぎ
メールがなった

ディスプレイには彼の文字

開くのももどかしく
震える手でメールを開けると


「主人から全て聞きました。私は離婚を考えています。本当に信じられない」

ビリリっと頭に電流が走った


詰　ん　だ　…と思った。



彼の携帯から奥さんが送って来たメール
アウトだったんだ…
全部バレたんだ…

目の前が真っ暗になった

返信を考えたけど
何を送ったらいいのか解らなかった

彼の家庭を壊してしまったかもしれない

書いては消し、書いては消しを繰り返したらいつの間にか2時になってた

もう今日は返せないな…
そう思って携帯を閉じて寝ることにしたけど
2時間程したら目が覚めた

午前4時
もう一度メールを開く
奥さんが書いた文字にやっぱりビリビリとショックを受けた


「ごめんなさい」と「彼はあなたを愛してる」と「離婚について口出しする権利は自分には無いです」

というメールを書いて
起きたら送ろうと思って寝た

彼と接触する前に送らないと
口裏合わせたと思われるから
彼の知らないうちに処理しないといけない



朝起きて
送信を押す前に
「カマかけてるかもしれない」っていう彼の言葉を思い出した

わからないけど
本当にバレてたらきちんと謝らないといけないし
バレてなかったら滅多なこと言わない方が良い


「彼はあなたを愛してる」って言うのを削除して
7時過ぎに送信を押した

どちらのパターンでも通用する内容のはずだった






どうしてあたしたちは二人で
彼の奥さんをなだめているのだろう…

彼はあなたを愛してるんだから、だって、なんて自虐的なことをあたしはこの子に言おうとしてるんだろう

あたしはなんで逆切れしないんだろう


あたしが望んでいるのは何だろう

彼の幸せ？
あたしの幸せは？