- 名前
- zz987
- 性別
- ♂
- 年齢
- 62歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- スーパーアーティストzz987立川在住。平日/昼間のみ営業の秘密の遊園地・・御一緒に...
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★吉原(5)高尾太夫 後編
2011年05月18日 00:03
神田にある紺屋に勤めている染物職人、久蔵。真面目が着物をきて歩いているようなこの男が相手は「大名道具」と言われる松の位の高尾太夫に一目惚れ。三年間、一心不乱にお金をため・・・吉原へ。
さて、三浦屋。久蔵が高尾の部屋でドギマギしていると高尾太夫がしずしずと登場。少し斜めに構えて、煙管で煙草を一服つけると「お大尽、一服のみなんし」。松の位の決まりとして、初会では客に肌身は許さないから今日はこれで終わり。花魁が型通り「今度はいつ来てくんなます」と訊ねると、感極まった久蔵は泣き出してしまった。
『ここに来るのに三年、必死になってお金を貯めました。今度といったらまた三年後。その間に、あなたが身請けでもされたら二度と会うことができません。ですから、これが・・今生の別れでございます』
大泣きした挙句、自分の素性や経緯を洗いざらいしゃべってしまった。ところが、さすがは最高位の花魁。高尾の方も、久蔵の指先を見て、贋のお大尽と気がついていたらしい。・・・久蔵は、怒られるかと思いきや、高尾は、なぜか涙ぐんだ。
『源・平・藤・橘の四姓の人と、お金で枕を交わす卑しい身を、三年も思い詰めてくれるとは、なんと情けのある人』
自分は来年の三月十五日に年季が明けるから・・・『その時、ぬしの女房にしてくんなますか?』・・・と言われ、久蔵、びっくり!感激のあまり、またもや大泣き。
そして、お金をそっくり返され、夢うつのまま神田に帰ってきた久蔵。それからと言うもの、前にも増して物凄いペースで働き出した。
『来年の三月十五日…あの高尾がお嫁さんにやってくる』・・・それだけを信じて。
『花魁の言葉なんか信じられるものか』なんていう仲間の苦言も何のその、執念で働き通して・・・いよいよ次の年の三月十五日・・・・
本当に高尾がやってきた。久蔵、『・・ウーン』と失神。その後、久蔵と高尾が親方の夫婦養子になって跡を継ぎ、夫婦そろって何とか店を繁盛させたいと、手拭いの早染め(駄染め)というのを考案する。その速さと粋な色合いがブームとなり、通称「かめのぞき」と呼ばれるようになり、久蔵の店は大繁盛することになった。
めでたし、めでたし!
・・・で、 浅黄色のこの染物は、吉原に繰り出す酔狂の間で大流行したと言われています。「かめのぞき」と言うネーミングですが、その由来は・・・高尾が店に出て、藍瓶をまたいで染めるのを見ていた客が、高尾が下を向いていて顔が見えないので、争って瓶の中をのぞき込んだ・・・ことから来ているそうですよ。
このお話、『紺屋高尾』の名称で、落語や講談になってます。高尾太夫は他の話にも登場しますが・・基本、花魁にしては、実を通し、情の深い女性として描かれているようですね。
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