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幻夢の名残(※非現実注意

2009年04月22日 22:20

注意※非現実めいた話です。嫌いな人は読まないように。


「綾ちゃん・・・大丈夫?」

身体が重くて頭が霞んで・・・ぼうっとする。
寝起きか眠る前の微睡みに似た感覚・・・

ただ、違うのは眠気も無く身体も意識もちゃんと覚醒している・・・
にも 関わらず、コレの後は何だか必ず ダルい・・・

身体を起こすのも面倒な程。

「電話・・・終わりましたか?」
「うん・・・今度は?」

去年五月 拾われ(助けられ)てからまだそんなにしない間に立て続けにその知らせがあったから、
気味悪がられるのを覚悟で本当の事を伝えた。
癌末期の両親が実家にいるその人は 事の重要性もあってか、
私の言ったことに驚きはしたが、その後キチンと耳を傾けて

何か気付いたりしたら伝えて欲しいと言ってくれた。

だからこそ 言えた事。

「怒られました。

実の親が 身内が危ないって状態で戻って来ないからかと・・・
急いで戻って来て欲しいといった感じです。」

伏せた 隠した・・・とすればその時
その人の母が「年内には亡くなる」という事だけ・・・だが、

誰しも そんな死期など言い当てられて気分良くはないだろう。

「そっか・・・でも、俺も仕事があるからなー・・・;」
「それでも、今は傍に居るべきなのでしょう。

死に際に間に合わないなんて悲しいから・・・」

六月末 丁度月が変わる時期に
予想というより予感・・・とでもいうか・・・その「虫の知らせ」と胸騒ぎは確実に
最悪のかたちで現実になった。

「お母ちゃん・・・死んだって。」
「そう・・・ですか。」

私だって人の死の前触れなんて知りたくなかった。
けれどもコレが もう・・・幼い頃から現実だった。

時にその背景が 時にその少し未来
時に原因が

そして 死期。

どれだけの別れを 最後を感じてきただろう・・・
ーー
幽霊の姿が普通に見えて 声を聴ける子供だった。
幼い頃は中々区別が出来ずに嘘つき呼ばわりをされた。

姿が見えて 声が聴こえるというのは
感覚としては人と話しているのと変わらない。
だからこそ 認識が遅れた。

彼等は人じゃないのだと。

公園に 窓の外 園児の集団・・・普通の現実に混じってる実体の無いモノが
普通に溢れかえっていて、関わってしまってる事が常だった。

友達が出来る前から関わっていた彼等と逢えなくなって、

ある日 それはいきなり終わったと
関わることは無いと思っていた。

それなのに

毎日とは言えずともそれはずっと続いた。
声が聴けなくなっても 見る目が弱まっても・・・ずっと。

時に姿を現し 何かを伝えようとしていた。

ー高3 冬
不思議な夢から目覚めると違う何かが入り込んだ感覚があった。
それを突き止めようとすれば割れるように頭が痛くて、
その頃やっと相談できる霊能の人に報告しようとして
専用の掲示板に書き込んでも全て文字化けして、

上手いこと 誤魔化されてしまった。
その人以外に相談できる人がいなかった為、
そういう能力があるという人を兎に角探した。

けれども頭痛がしなくなって、もう離れたかと思ったら
夢から憑けたままで、精神やらを既に病んでいた。

実際現実でのやり取りの方が辛くて、
それ以外は思ってもなかった所でダメージを受け続けた結果、
翌年 いろんな意味で可笑しくなって 秋にやっと祓ってもらえた。

その時

「多分産まれながらに憑いてきたのもあったと思う。
けど、今はどちらもいない。」

幼い頃に色々教えてくれた彼女もまた消えてしまった。

何度もそういったものと遭遇して、
嫌なのも多かったけど、優しいのも一緒に別れてしまった苦い経験が
心に虚無感喪失感だけ残していって 悲しくて 辛かった。

死期もまた同じで
関わった人に死期が見える時は必ず年内に亡くなった。
一昨年もそういう目にあった事から 返って目を背けて見知らぬフリをしようとしたにも関わらず・・・
ーー
「綾ちゃんって声は聴けないんでしょ?」
「うん。ただ、聴くというより頭に響くって感じかな?
実際声としては聴こえないけど強い想いとして訴えてくる感じ。
彼等は思念体っていって身体の無い精神体みたいなモンだし・・・

残留思念って解る?」
「ああ・・・それなら・・・」
「あれが人のカタチとかを成した感じ・・・ってか説明がしずらい;
これ、感覚情報の一環で五感と同じようなもんだもん;

そういう感覚がある人にとっては普通にとらえてしまう情報・・・みたいなもんだし;
共感ってあるでしょ?」

「ああ・・・」
「それが必要以上に鋭くなったり磨かれたモノ・・・っていうか・・・潜在的に誰しもあるらしいから;
色々あって目覚めちゃった・・・とかそんなだし;

私の場合「体質」だから血にそういうのが宿ってて、
偶然そういうのが目覚めやすい遭遇とか環境だった・・・っていう感じだと思う;

ただ寄せ付けるのがあまり良いとはいえないけど;」

まるで神隠しから戻ってきた子供のような・・・
そんな体験ばっかりだ。
ーー
消えてしまった彼女達 彼等はいろんな事を教えてくれた。
年子というのもあって早い時期に母から離れた子供にとって
構ってくれるのならば 霊でも人でも関係なかった。

怖くなければ それでいい。
そんな感じで 孤立しがちな現実でも
語らってくれた彼等を信じる事で孤独感を埋めようとしてた。
それ以外はひたすら絵を描き 本を読んだ。

何かに没頭していれば寂しくないと・・・

けれども時折
今でも突然の決して再び逢えることなど無い別れを思い出す。
小さな頃は 泣いた。
大人になってからも・・・やっぱり泣いた。

泣いて 嘆いて 落ち込んで・・・
呼んで 祈って 願っても 時は戻ることなく

みんな消えていくばかりだった。

生きているなら・・・別れはさほど辛くない。
死っていう別れが一番辛い。
何も言わず 告げずに消える終わりも凄く辛い。

辛いけど・・・
取り残されてしまう事が毎回腹立たしいけれど・・・

消えてしまっても 取り残されても
どこか現実に引き戻されて護られてるから 今 生きているんだ。

願ってる 祈ってる・・・
輪廻が本当ならば また会おうね。と

ー 神様なんていない。
信じ 願って 祈って 縋ったところで奇跡なんてなかったのだから。ー

「ただある命を 見守るだけなんだ。神様って。」
生命の始まりと終わりを決めて それに動く事以外は。

まるでゲームプレイヤーの様に・・・

何も告げず 残さず消える別れの中で残されたモノがあるなら

ー命尽きるその時まで 「生きろ」ー

そんな道だけを示すような 厳しさ 優しさ
過ぎ去ってゆく風のような 儚くて 刹那めいた・・・沈黙だけ。


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sentfrom W-ZERO3

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