- 名前
- 絵梨菜
- 性別
- ♀
- 年齢
- 55歳
- 住所
- 京都
- 自己紹介
- 特になし
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過去への旅(満開の桜の下で。。。)
2009年04月08日 01:20
「お兄ぃ。私、ひなさんに会ってきたで。」
「おう。そうらしいなぁ。」
「元気そうやったわ。お金に困ってる様子もなかった」
「そうか。ええ暮らししてはったか。」
「ようはわからんけどね。きれいにしてはったし。」
(薄いピンクのセーターと派手な化粧のひなさんの姿が蘇った。)
「あのマンション。お父ちゃんが買ってあげたんやて。知ってた?」
「ああ。土地売って、愛人にマンション買ったとかばあちゃんが怒ってたな」
「知ってたんか。。ばあちゃん元気やったころの話か。随分と古いな」
「そやなぁ。25年は経ってるな。」
「そのわりには。綺麗に住んではったなぁ。」
「大きいマンション?」
「うん。結構、広かったよ。」
(白いレースのカーテン、玄関のバラの花。日の差し込むリビング。)
「一人で暮らしてはるんか?」
「さぁ。そうみたいやったけど。聞いてないから。。。」
「ずっと。オヤジのこと想って一人やったなんてことではないわな。」
「まぁ。考えられんな。それは。。。」
「病気になってからぷっつり切れたしな。」
「お父ちゃん。ひなさんとこ行かんようになったしな。そんなもんやで愛人とは。」
「そやな。金の切れ目が縁の切れ目やな(苦笑)」
「旅行もな。よく行ってたみたいや。ふたりで。」
「そうか。」
「写真見せてもろた。お父ちゃん、笑顔やったわ。」
「ほう。。。母さんには笑顔なんて見せたことないのにな。」
「うんうん。優しかったんやてさ。暴力もふるってなかったって」
「愛人って得やな。」
「そやな。なんかな。」
「うん」
「私。ひなさんに嫉妬した。あの人。お父ちゃんの愛情独り占めしてはったんやな。」
「うむ。。。」
「一生懸命に尽くしても殴られるだけやったしな、お母ちゃん。家に帰ってくるときはいつもトラブル抱えてたし。
お気楽に甘えて服とかバッグとか買ってもらってる人とはえらい違いや。」
「おまけに子供まで押しつけられたしな。(笑)」
「お兄ィ。。。。」
「よう辛抱して育ててくれたと思うよ。どこのお母さんよりも優しかったしな。子供のことを全面肯定してたな。」
「自慢の孝行息子やしな。お兄ィは。。。」
「まぁ。グレてる余裕はなかったな。うちは。。」
「それもそやな。(笑)」
「最後に面倒見たのお母ちゃんやった。そやのに。お父ちゃん、一言もありがとうも言わなかったし、お母ちゃんが死んだときも涙ひとつこぼさへんかったな。」
「そやったな。ボケてたからしゃあないとは思うけど。なんか虚しいな。」
「ゆきちゃんのこともそやった。みんなお母ちゃん任せ。お葬式の時もなんにもせん癖に、お兄ィが率先してやるとでしゃばるな!って怒鳴ったし。お兄ィがせんかったら一体誰がしたんや。」
「えり。。。。」
「お母ちゃんもゆきちゃんもお兄ィも私も。
4人でよってかかっても、ひなさんに勝てなっかたと思うと悔しいな。」
「最後は、うちに戻ってきたんやし。見ようによっちゃ。母さんのほうが勝ったのかもしれんで。勝ち負けで、おやじの面倒見てたわけやないやろけど。」
「そうかなぁ。。。」
「そう思わな。。。」
「こんなこというのも悪いけど。。」
「うん?」
「お兄ィのこと、ひなさん一言も口に出さなかった」
「そんなもんやろ。会ってないから、愛情もないて。」
「私。。。」
「うん?」
「ひなさんに、謝って欲しかったんかな。結局のところは。。。」
「そうなんかな。」
「そうなんやと思う。あなたのせいで不幸でしたって言いたかったのかもな。」
「不幸やったか?」
「そうでもなかったな。(笑)」
「えり。」
「うん?」
「えりには、ギンさん(主人)もおるし今、幸せなんやろ?」
「まぁな。お兄ィもお義姉さんもおるしな。」
「そんなら。もうええやんけ。オヤジのこともひなさんのことも。許せとはいわんけどな。」
「うん。」
「あれこれ。思い悩まんでもええかなって。」
「そやなぁ。」
「過ぎた日の出来事。そうしとこ。」
「そやなぁ。」
「母さんのこともゆきちゃんのことも過ぎた日ではすまされんけどな。」
「うん。」
「これは俺らが抱えていたらええやん。」
「うん。」
「ギンさんとの生活も大切にせなあかん。俺もな。今の家庭を守らんと、や。」
「そやなぁ。。。」
「お兄ィ。桜、満開やな。めっちゃキレイや。」
「ほんま。きれいやなぁ。」
このウラログへのコメント
> rousillonさん
会わないと決めている。
会えないと思っている。
もう忘れたことにしている。
ほんとは、どっちなんでしょうねぇ。
どっちも哀しいですね。
> hayatoさん
♪上を向いて歩こうよ。涙がこぼれないように。
思い出す春の日。。。♪
過ぎた日はけして哀しいものばかりじゃない。
ですよね。^^
> こうもりさん
心に闇は持ったままですが、私は、その闇の中へは落ちない。
あなたがそれを望んでいないことを知っているから。
そして私も。
あなたが闇にいることを望まない。
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