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スワップ取材記-序章

2008年07月24日 21:15

スワップ取材記-序章

話的には24年くらい前の話

バイト先で営業部の時坂さんに呼ばれる

「やがみ君だったよね」

「はい」

「君 もうじき契約完了だけど次のバイトは決まった?」

「いえ まだですが」

「そっか ちょっとばかり特殊な雑誌なんだけど

そこでバイトしない?」

バイト内容は 今と同じようなもんですか?」

「うーん 基本は同じだけど 取材に出てもらうと思う」

「それは かまいませんが 何故 わたしに?」

「前 飯島君に頼んだんだけど 断られた」

「へえ 飯島さんにねえ」

飯島さんとは? 飯島恵子 あの恵子さんである

「まあ 確かに あれは 女の子にはきついかなと」

「ふむ」

「で、彼女が君なら出来ると言ったんだけど

君 まだ 契約中だったでしょ」

「その時期だとそうですね」

「で、とりあえず 別な人に頼んだんだけど ちょっとね」

「ちょっとと言うと?」

「いや たいした事じゃないんだけど トラブってね」

「そんなにハードな仕事ですか?」

「いや 仕事がハードというより 内容かな?」

「なんの雑誌なんです?」

「うーん 見てもらった方が早いかな」

そういい彼は まわりを見回し 人がいないのを確認し

バックの中から一冊の雑誌を取り出した

そして わたしは それに目を通した

表面上は 平静を装っていたが 実はかなり動揺していた

「これは.....?」

「うん そういう雑誌なんだけど」

「取材って何を?」

「まあ カメラマンと同行して インタビューしたり

あと そこで起こったことのレポートかな」

「これは 本当に特殊ですね」

「そうだね」

「確かにハードかも」

「僕もそう思う」

「普通の神経じゃきついかも」

「うん そこは 入内さんが保障してくれたし」

「なんと?」

「やがみ君に普通な神経はないと」

「否定出来ないのが悔しいですね」

「で、どうかな?」

「いいですよ やりましょう」

「そう いやあ 助かるよ」

雑誌の名前は忘れたが 

雑誌名の下に書かれてた文字は覚えてる

夫婦交換専科』

それは スワッピング雑誌だった


その夜 わたしは 恵子さんを呼び出した

実は ある事情により 恵子さんとの同棲は終っていた

3ヶ月ぶりだろうか 

喧嘩別れしたわけでもなく

多分 見てはいけない いや 違うか

まだ 見てはいけなかった彼女の姿をわたしは見た

それは彼女も同じで まだ見られたくはなかった

多分 ふたりとも同じ事を感じたのだろう



「おい」

回想を破るように声がした

わたしは振り返った そして言葉を失った

してやったりという顔をする恵子さん

「行くよ」

「あ、おう」

恵子さんの後をついてスナックに入った

「いらっしゃ.... け、ケイ姉さん!何その格好?」

「おう 似合わねえだろ?」

奥からママらしき人が出てくる

「あら 恵ちゃん 懐かしい格好ね」

ママ それ言ったらだめだって」

状況が読み込めてないわたしだった

この姿を見るのは2回目になるか

黒いミニに白のブラウス

そして地味な化粧

相変わらず口紅が赤すぎるのが気にはなるが

そして 髪が伸びたせいもあり

見事に わたしのツボにはまっている

とりあえずカウンターに座る

「で、今日はなんだ?」

「あ 今日さ 営業の時坂さんに呼ばれた」

「ほう じゃ あのバイトか?」

「うむ あんたの推薦らしいな」

「あ 推薦ってわけじゃないけどな」

「じゃ なに?」

「いや 知り合いでアレをこなせるやつっていったら」

「わたししかいないと?」

「そうだ 迷惑だったか?」

「いや 面白い

「そかそか」

少し うれしそうに ウィスキーのロックの飲む

しみじみ 眺める  いや 見とれていたが正解か

ちなみに 誰に似てるかといえば

youtubeクリスマスエキスプレス1998年の深津絵里

これに似てると思う

「なに見とれてる?」

「な、なぜ わかった?」

「ま、まじに見とれてたのか?」

「ま、まあ そら 見とれるぞ」

「ひさびさにしたくなったか?」

「なに 言ってる」

「そう言いながら この手はなんだ?」

「いや 髪がのびたなと」

無意識に 恵子さんの髪に手をかざしてるわたしだった

「口説いてるように見えるんだが」

「ふむ....うむ 口説いてる」

「ばか....」

店員の子が驚いてる

ケイさんが そんなことされて怒らないのって」

「うん? ああ これな」

「これってなんだ?」

「まあ 最後まできけ」

「うむ」

「これ 前彼だから」

「前彼......」

「不服か?」

「いや もっと早く聞き...いや」

「もっと 後に 彼氏だと言われたかった」

「そうだな 言いたかったな」

意味不明な会話だが二人には十分だったと思う

わたし的に人生唯一のご主人様

ただ それは彼女自己防衛の鎧

わたしが正気であるための仮面にも似たもの

似たもの同士だったのだろう

だから 魅かれあった

ただ 鎧を脱いだ彼女をわたしが見るには

その姿を彼女がわたしに見せるには早かった

あと半年 それが遅かったら

今となっては どうにもならないことだが

店を出て彼女アパートにつく

三ヶ月ぶりに見た部屋は

風情もなく散らかっていた

造作に箱の中に押し込まれた

二人の思い出の品

造作に放り込まれていたのは気になったが

彼女が 大事なものは ここ

そう言ってた箱だ

そして恵子さんと寝た

なんとなくこれが本当に最後な気がした

彼女とわたしにしては 普通なえっち

普通の恋人たちが 愛しむような

翌朝 恵子さんの朝食を作り

少しだけ掃除をし 洗濯を干し

彼女の 最後のキスをした

玄関先で わたしは大きくお辞儀をした

彼女も 普通に正座をしてお辞儀をした

そして なんともいえない笑みをみせた

わたしは 部屋を出た

これで本当に 終わりになったんだなと思った



そして 翌月 わたしは新しいバイトへと移った

そう 今回のウラログは なんとなく

物悲しく情緒あるものになったなと思いつつ

次は とても エロく異常な世界になると


次回 取材1 夫婦交換実況(仮題)に続く

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