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ギャップ 素敵なあなたは

2024年12月18日 00:18

ギャップ 素敵なあなたは

教室の片隅で目立たないあなた 部活はせずに 帰宅する ある日 空手道場に入るのを見かけた 
外から見える範囲では 線が細くひ弱で 練習でも

避けるというより逃げているように見える それでも 熱心さが伝わってくるのが不思議だった 
「お おはよう♡」「あ うん おはよう」

教室に入るとすぐに挨拶をされた 相手はクラスでも人気者の女子だ
俺は軽く返事をして自分の席に着いた特に仲が良いわけでもなく 朝の挨拶がされる程度の仲だった

「ねえ 君ってさ♡」「うん?」
また話しかけられた 珍しいことじゃないが珍しい相手だ

「あの子と友達だよね?♡」
そう聞かれた時 誰のことだか分からなかった クラスの女子は20人を超えているし 

名前もまだ覚えていない子が殆どだったからだ それでもすぐにあの子だと分かったのは 
彼女が指す“あの子”のことをよく知っているからだ “あの子”とは幼馴染 

あまり周りの子と話しをしないが男子と対等に向かい合う強い子だ 
いじめられそうな時に助けられた事がある 不甲斐ない自分を変えたいと道場に通っていた 

いつか彼女の手助けがしたいな~ なんて思ったりしていた
「そうだけど」そう答えると「そっか♡」

とだけ言って彼女は自分の席に戻って行った それから特に彼女と話すことも無く 
学校生活を送っていたある日の放課後 道場に寄ってから帰ろうと思い教室を出た時 

彼女が俺の前を歩いているのが見えた その足取りは軽くなく重そうなものだった 
俺は彼女を追いかけた

「ねえ」俺が声をかけると彼女は驚いた様子で振り返った
「な・・・なに?♡」「いや・・・その・・・」

俺は何を言うか決めていなかった「道場に・・・行かない?」
咄嗟に出た言葉がそれだった「道場?♡」

「うん」彼女は少し考え込んだ後「行く♡」そう答えた 
それから2人で道場に向かった 道中は無言だったが不思議と気まずさはなかった 

そして道場に着くと彼女は目を輝かせて中に入っていった 俺も後に続き中に入ると
そこには師範代が待っていた 師範代は俺達を見ると驚いた様子で近づいてきた

「珍しいな2人が一緒に来るなんて」2人して顔を見合わせていた「あの・・・私は・・・♡」
彼女が口を開いた瞬間 師範代の雰囲気が変わった

「どうしたの?何かあるなら言ってみなさい」
そう言うと彼女は少しオロオロした様子を見せたが意を決したようで話し始めた

「私・・・空手が好きです♡」
その言葉を聞いて師範代は驚いていたがやがて笑顔で答えた

「そうか!よかったな!」「はい!♡」
俺達はしばらく話をしていたがそろそろ帰ることにしたその時だった彼女が俺を呼び止めた

「ねえ♡」「なに?」「ありがとう♡」
彼女笑顔でそう言った その笑顔は今まで見たどんな笑顔よりも輝いていて美しかった 

そして俺は初めて彼女に恋をした
それから俺達はよく一緒に行動するようになった

休日も一緒に過ごすことが多くなりお互いの両親も公認の関係になっていた
そんな時 師範代が俺達にある提案をした それは・・・

「2人とも大会に出てみないか?」というものだった
最初は戸惑ったものの師範代の熱心な説得により参加することに決めた

俺は1回戦負け 彼女は優勝 とても強かったそして大会後 師範代が俺達にある提案をした 
それは・・・ 2人揃って道場を継ぐというものだった 

最初は戸惑ったものの師範代の熱い思いに押される形で了承することにした 
2人で道場を継ぐことになった俺達は毎日稽古に励んだ 

そんなある日のこと彼女が俺に聞いてきた「ねえ♡」「なに?」「私ね 夢があるの♡」
彼女はそう言って話し始めた その夢とは空手世界一になることだった 

そんな彼女の夢を叶えるため俺は協力を惜しまなかった それから20年
自分達は叶わなかったが子供が小学生の部で全国優勝した「やったね!」「うん♡」

2人で喜び合っていると師範代がやって来た そして俺達にお祝いの言葉をかけてくれた後
こう言ってくれた「2人共おめでとう!今日は特別に稽古をつけてあげよう」

そう言ってくれたので俺達は遠慮なく師範代の胸を借りた 
稽古が終わり休憩していると師範代が話しかけてきた

「なあ君達の夢はなんだったかな?」
そう言われた時ふと思い出したことがあった俺達は子供の頃に言ったことを思い出した

世界一空手家になりたい!♡」2人は口を揃えてそう言った 2人では叶わなくても 
道場を継ぐ頃には夢が叶うかもしれない しらんけど

あなたに 素敵な 時間が 訪れます様にsayamanotakuya

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