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ヴェニスの商人

2005年11月11日 21:48

ヴェニスの商人

イタリア半島 ヴェネツィアヴェニス

葦が生い茂る湿地に築かれた海に浮かぶ都市

カーニヴァルの夜 仮面は人々を解放ちます

作品の舞台となる十六世紀 この街の華麗な女はフランス王妃をも凌ぐと言われました
地中海交易がもたらす莫大な富によって栄華を極めたのです

そこは 千年続く水の都

六世紀 蛮族に侵略されたヴェネト人は、逃げ込んだ湿地に無数の杭を打ち込み人口の浮島を造りました

ヴェネツィアヴェニス)の歴史はここから始まります

やがて一攫千金を夢見た男達は東方世界に船を漕ぎ出します
中東北アフリカ そこは当時世界の最先端をゆく文化がありました
ヴェネツィアヴェニス)の商人はそれをいち早く持ち帰ったのです

海に面した百十八もの島を橋と運河で繋ぐ 世界でたった一つの光景

ここまでの前置き、TBSの「世界遺産」のナレーションみたいだなぁ・・・(笑)

1596年(十六世紀)のヴェネツィアヴェニス
土地を持つ事を許されなかったユダヤ人達は、ゲットーの中に隔離される生活を余儀なくされ、金貸しを営んでいました
シャイロックアル・パチーノ)も、そんな金貸しの一人です
彼らが、キリスト教徒から迫害の対象にされたのは、宗教の違いに加え、高利で金を貸す行為がキリスト教の教えに反するとみなされたからでした
ユダヤ人を示す赤い帽子をかぶって出かけたゲットーの外で、キリスト教徒暴行にさらされるユダヤ人
シャイロックも例外ではなく、顔見知りの貿易商アントーニオ(ジェレミー・アイアンズ)から顔に唾を吐きかけられる屈辱を味わいます

そんなアントー二オとシャイロックの関係が逆転する日が訪れたのは、それから間もなくの事でした
原因を作ったのは、アントー二オの年下の親友(それ以上の関係かも・・・)バッサーニオ(ジョセフ・ファインズ
放蕩生活で財産を使い果たしたバッサーニオは、ベルモント(これがどこなんだか私は知りません、苦笑)に住む美しい女相続人ポーシャに求婚する為の資金を借りようと、アントーニオの元にやってきました
が、アントーニオの全財産は、今は船の積荷となって、世界中の海に散らばっています
そこでアントーニオは保証人となり、シャイロックから金を借りる事を提案しました
彼の書いた証文を携えて、さっそくシャイロックを訪れるバッサーニオ
シャイロックは意外にも3000ドゥカートの大金を無利子で貸す事を承諾しました

ちなみに当時のヴェネツィア貴族年収は700
~4000ドゥカート

ただし、それにシャイロックは条件をつけました

「3ヶ月の期限内に借金が返せなかったら、アントーニオの肉1ポンドを引き換えて貰う」

常軌を逸したシャイロックの申し出にアントーニオはたじろぐが、積荷が期限内に戻ると信じる彼は、バッサーニオの幸せの為、条件を承諾しました

以上があらすじです・・・
パンフを参考に記載しました(笑)

有名なシェークスピアの物語です
私、原作読んだ事ないです(って言うか記憶にないだけかも)
シェークスピアって海外行った事ないのに知らない土地舞台戯曲をよく書いていたそうですね

私は、ヴェネツィア、何回か訪れています
世界三大カーニヴァルの一つヴェネツィアカーニヴァルも観てきました(写真仮面はその時買ったモノです(*^^*)
どーしても観たくて、21の時、職場の人達にお休みくれる様、お願いして、一人で行ってきました
ヴェネツィアは、今でもこの話の舞台と同じ時代の風景が残っています
昔の風景画と照らし合わせてもおんなじなんですよ!!
この街に居るとまるで映画のセットに居るのか、タイムスリップしたような感覚に浸れます
今でもカーニヴァルは、ヴェネツィア共和国全盛期の人達の衣装を纏い、仮面をかぶって広場に繰り出し、春の訪れを祝います

またハナシがそれました(苦笑)

ラヴストーリー法廷劇、人権と復讐、偏見と友情を兼ね備えたストーリー
以前ログに書いた「カリートの道」のアル・パチーノウラログに書いた「ロリータ」のジェレミー・アイアンズ、そして「恋におちたシェークスピア」のジョセフ・ファインズが出演しています

でもこれは私にとっては悪役を演じて居たけれど、完全にアルの作品でした
ユダヤ人の卑屈な想いを全身全霊込めて演じていたので、完璧にアルの味方になっていましたよ

ユダヤ人には目がないか?
手がないのか?
内臓や体付き、感覚、感情、食べ物が違うか?
刃物で傷つかないか?
同じ病気に掛からず、同じ薬で治らないか?
同じ季節の暑さや寒さがキリスト教徒と違うか?
針で刺しても血が出ないか?
くすぐっても笑わないか?
毒を盛っても死なないか?

迫害されても復讐しないのか?

それだってあんたたちと同じだ
ユダヤ人迫害されたら、どうしたくなる?
復讐か?」

一言一言のセリフ、凄く重みがあって、それに彼の演技が加わって最高に良かったです!!

だから、裁判でやり込められて、娘も駆け落ちして出て行っちゃって、財産も無くしたシャイロックの姿がもの凄く悲しげでした

一瞬「フェイク」のアル思い出しましたけれどね・・・

いつもだったら女優感情移入して観ている事多いんですけれど、今回はシャイロックになって観ていましたので凄く悔しい想いしましたね!

ヴェニスの商人」の「商人」は1ポンドの肉を担保にしたアントーニオの事なんですよね
でも、観ながら
「自分の肉なんか担保にすんの承諾すんなよぉ(笑)」
って思ってました
後、財産使い果たした分際で、一目ぼれした女相続人求婚する為にアントーニオ保証人借金させたバッサーニオが全ての原因ですよね~(笑)
相続人ポーシャがそんな男に一目ぼれして、即結婚するのも理解出来ませんでしたー
しかも裁判の為に大金まで用意して、そしてある事をしてアントーニオとバッサーニオ助けるんですよー!
容姿がいいのだけが取りえで、お馬鹿な借金したバッサーニオなんか助けるポーシャの気持ちも私にはよく解りませんでした

ポーシャは才色兼備だって言われているみたいですけれど「結婚」って一生の問題に、父親の遺言に従い相手が決まる事、納得いかないんなら愚痴っていないで、頭イイんだから、法律調べて抜け道探して慎重に旦那探しすればいいのに・・・(笑)

火のないところにも煙を出すのが法学博士なんだから!

一番道理が通っているのやっぱシャイロックなんですよねぇ・・・
でも、この物語は「復讐は身を滅ぼす」って言葉通りになってしまって、それを観客にズシっと重し付けたかったのかもしれません

私は見事、それを痛感いたしました

でも割と自由な都市国家だってずっと聞いていたヴェネツィアユダヤ人迫害していたのこの作品観て初めて知りました
実際ヴェネツィア行って現地のガイドさんとかからはそんなハナシ出なかったですから

栄光と繁栄と没落の話は知っていましたけれど・・・

登場人物セリフ演技は素晴らしいです!!
特にセリフは一言一言、耳を澄まして、感性で読み取って観ると楽しめると思います
(^^)

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