- 名前
- エンドウ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 41歳
- 住所
- 愛知
- 自己紹介
- 飲食店で激務の傍ら、休日は愛車と気ままなお出かけをすることが多かったのですが、最近は...
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肉色片思い
2005年10月22日 22:56
熱心なエンドウさんのファンならご存知のことでしょうが、俺は精肉店でアルバイトをしております。
現在の様相を端的に説明すると、カルビやらタンやらホルモンやらがバカみたいに売れた怒涛のバーベキューシーズンがようやく幕を下ろし、鍋物関連の商品を展開しています。
すき焼き用やしゃぶしゃぶ用、薄切り肉が調子よく売れていく最中、目玉商品として長崎産の和牛が入荷されました。
ただ、バイト先の店は比較的安価でそこそこうまい肉が主力商品ですので、高いけどうまい和牛というのはあまり売れるものではありません。原本を冷凍庫で遊ばせておく内に冷凍焼けという、冷気で表面が乾燥してたんぱく質や脂質が変質してしまう現象が起きてしまいます。
そうなると味も落ちるのですが何よりも表面が灰がかった色に変わってしまって、とても商品として販売できるものではなくなります。そんな廃棄処分待機品ですから、食べちゃっていいんですよ。しかもタダです。肉屋はそこがオイシイ。
和牛っておいしいんですよ。脂に濃厚な味わいがあって。
割と頻繁に「脂が少なくて軟らかくておいしいお肉はないの?」と申される客が来ますが、そんなものはありません。肉は脂身にうまさのポイントがあるのです。
そんな和牛をタダでランチに食すことができるというのですからよだれが出そうになります。どうせ商品にならない肉です。たっぷり500gほど切り落としてやりました。値段にすれば5000円ほどですから、若干食いすぎです。
しかし、3割ほどまではおいしく食べることができたのですが、そのあたりから少し気持ち悪くなってきました。旨味があるとはいえ脂というやつはクドイものですから、食べ過ぎるとどうしても気持ち悪くなってしまうのです。
何とか食べきることはできましたが、終盤の数切れに差し掛かるとどうにも箸が進まず、残してしまおうかと思いを過ぎらせつつも完食に至りました。
食前はあんなにおいしそうだと思いを募らせて、食べ始めは良かったのにもかかわらず、量が多かったというために食後の気分は食傷気味というひどいことになってしまいました。
濃い目のお茶で舌を休ませながら、この気持ちは何かに似ているな・・・と考えていたら、いつかの恋に通じる部分があるのだと思い至りました。
そんな、恋と肉を一緒にしないでよ!と苦情が来てしまいそうですね。しかし、食は生に連なるものであり、恋もまた生に結びつくものなら、それらは同源というものです。
好きな人のことは何でも知りたいし、自分のことも知ってもらいたいという気持ちは恋愛における心理であると思います。相手に事について無知でいるよりも、お互いが持っているものを共有しあえたら気持ちが深く繋がる・・・というような発想なのでしょう。
まあ、軽い付き合いをしたいから相互理解なんて別に必要ないんだけど!?という方もいまして、その場合は対象外になりますが。
エンドウさんにもすべてを知りたい、受け止めたいという時期がありました。そう思わせる相手もいました。
胸に温まっている思いを未来へとつなげるために、彼女の過去と現在を知り、実のある付き合いを築いていきたいと思っていました。幸い、彼女も同じ思いであったのか「エンドウ君なら本当の私を知られても大丈夫な気がする」と言ってくれたので、よりいっそう彼女のすべてを受け入れる気になるというものです。
それが間違いでした。
何事にも程度というものがあります。恋もそうです。
誰にだって知りたいことと知りたくないこと、知られたいことと知られたくないことがあります。
話が趣味や食の好みというレベルなら特に問題はありません。むしろ、その程度は円滑な付き合いを成したいのならば積極的に知ってもいい部分であります。
しかし、家族や個人的な価値観、過去という領域に入ってくると様子が異なります。それらを趣味やら何やらと同等にしてしまっては話になりません。不用意にプライベートに干渉することは失礼に当たりますし、痛い目を見ることになる場合さえあります。
いくら知りたいといっても、相手の女性・男性遍歴なんか知りたくないでしょう。そこのところだけはどうか伏せて自分だけを見てくれ、というものですよ。
件の彼女は早い段階でいろいろなことを打ち明けてくれました。
すごいわがままであるからいつも彼氏を振り回して振り落としてしまうとか、なんとか。
ああ、そんなことは知りたくありませんでした。かわいくておもしろいという一面しか知らず、そこに惹かれて付き合い始めた身としては厳しい告白です。
恋愛経験の浅い若造では、とても受け止めきることができませんでした。知るにしても、もっと段階を踏んでお互いに余裕を孕んでからにすべきだったと、今だからこそ思います。
知らざる一面はエンドウさんの心を揺るがし、何とか受け入れようとはしたものの次第に関係が瓦解していきました。後に残ったのは気持ちのこもらない「対処法」のみ。
それを俺の度量のなさとするか、彼女の無理とするかは主観的なことになりますが・・・。
何事も食べすぎというのは負担がかかるものなのです。
若干物足りないなという量をよく租借して取り入れることが、楽しさを保つポイントなんですよ。その意味なら恋も肉も一緒です。
もしかしたら、片思いで気持ちを暖めている時期が一番幸せなのかもしれません。
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