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侮りがたきミスド

2007年03月11日 23:27

 現在、ミスド抹茶ドーナツを売り出している。
 予想を大きく上回る人気で、製造が追いつかないのか、1日あたりの数量が限定されている。場合によっては、売り切れでその日は食べることができないということもあるわけだが、その日は運良く抹茶ドーナツを購入できた。
 抹茶製品好みなので、期待を抱きながらほおばった。しかし思いのほか味わいがなく、顔をしかめた。注意深く噛みしめればほのかに抹茶の味がする程度で、その名を冠するには役不足だ。それよりも味わおうとするほど油の味が強く出てきてぶち壊しになる。
 ミスドドーナツはこんなにまずいものだっただろうか。
 疑念を振り払うべく、別の店舗で同じ商品を購入する。すると今度は確かに抹茶の風味が感じられ、それでいて油っこくもなくおいしい。同じ材料、同じレシピで作っているというのに、店が変わるとこうも違ってくるのかと感心してしまった。

 ミスタードーナツは現在では日本唯一のドーナツチェーンである。豊富な種類のドーナツをラインナップしており、どれもなかなかおいしい。しかも手ごろな値段で、手軽に食べることができるので魅力は倍増する。
 甘党としてはミスドの存在は嬉しい。俺がひとりで都心のカフェにケーキでも食べに行こうものなら笑い者になりかねないが、ミスドならばそんなことはない。おしゃれでちょっと高級というプレミアム志向ではなく、あくまで大衆をターゲットとして事業展開しているので、男でも気軽に利用できるという親しみやすさがあるのだ。
 しかし、それはファストフード店であるからこその利点だ。ひとつひとつ店で手作りしていることがミスドのうりだが、画一的な商品を作っていることには変わりない。
 誰が作っても、どこで食べても一緒というのは安心と退屈が同居する。変わらないおいしさと言えば聞こえはいいが、それは代わり映えしないことと紙一重だ。

 だから、俺はミスドを侮っていた。
 ファストフードなんてどこで食っても一緒だと決め付けていたが、そうでもないようだ。材料もレシピも決められている以上、確かにおいしさの上限はある。しかしマニュアルの中でいかにおいしいドーナツを作るかは、作り手の裁量にゆだねられているのだ。
 よいサービスの条件とは質を維持することであると思う。うまいドーナツもまずいドーナツも同じ値段というのは、食べる側としてはとんでもない話である。ただサービスとしては問題があっても、そんな誤差が生まれてしまうところが人の手によることの良さでもあるのではないだろうか。
 
 最良を求めるのは当たり前だが、人間のやることなので常に最良が提供されるというのもちょっと気持ち悪い。やがてうまいものを作ってくれるのなら、失敗もありだ。
 ならば、油っこいドーナツを食べることもやぶさかではない。まずいけど。

このデジログへのコメント

  • まゆ 2007年03月11日 23:33

    面白いです!

  • 小桃 2007年03月11日 23:39

    あはは
    ファーストフードも焼き加減とか失敗多いよ
    ロッテリアで凍ってるポテト食べたことある

  • えり 2007年03月14日 14:32

    ずっと抹茶味のドーナツを食べたいんだけどいつ行っても売り切れなの。油っこくないのを希望!!

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