少しだけ

ハイ、元気にしてる？

私はそろそろ、ベッドから起き上がるのに手すりが必要になってきたわ。
そろそろ天に召される時が近づいているって実感している。

毎日私が活動している時間にあなたは電話してくれるわ、とても感謝しているの。
私の夕食の時間は、あなたにとっての夜中だって理解しているわ。
あなたは眠くない？私に合わせてくれるなんて感激しているの。

庭で毎年彩ってくれた薔薇は、お隣のベティに託したわ。
このまま枯れていくなんて、花が可哀想だもの。
そして、家具もほとんど人に譲ってしまって
私に残っているのは数着の普段着とレセプトで着るドレスだけよ。
あなたは覚えている？パーティーで私が着た空色のドレスを。

長い眠りにつくときは、このドレスを着るの。
これなら彼も私をすぐに見つけてくれるでしょう？
あなたがいつの日か私たちの所に来るまで、しばらく2人きりにさせてもらうわ。
そう考えると、死も怖くない。
いいえ、きっと素晴らしいことなの！
終わりを迎えるのは現実だけど、心は主の創った世界で過ごせる。
隣には彼がいて、私のために歌を唄ってくれるわ。
そして、私は彼とずっと語り合うの。
イギリスのこと、日本のこと、家族のこと、あなたたちのこと
考えるだけでたくさん、私はたくさん伝えたいことがあるの。

あなたがどんな人生を送るのか、
好きな男性は現れるのか、
娘はどんな大人になるのか、
どんな人を好きになるのか、
気になることはたくさんある。


あなたは長く人生を楽しんでね。

そして、出来ればあと60年は生きて欲しいわ。

それなら私は彼と長い時間、2人だけで過ごせるもの。

あなたも彼の妻だけど、私だって彼の妻なのよ？
それくらい認めて欲しいわ。
そして、精一杯今から彼に憎まれ口をたたいてやる。


私より背が低いのに

私より英語が下手なのに

私を夢中にさせるなんてズルイわ。

彼がいて私はアジアが大好きになった。

彼がいて私は日本が好きになった。

彼がいて私は男性への不信がなくなった。

彼がいて私は女の大切なものをあげた。

彼がいて私は子どもを授かった。

そして、彼がいて私はあなたと姉妹になれた。



今日、娘が学校を辞めてきたわ。
日本に行くまでは、私と毎日一緒に過ごせる。
残った時間で私が教えられることを全部教えるつもりなの。
日本では幼稚園に通うこと。
お弁当を持っていく必要があること。
簡単なことはもう娘は理解しているわ。きっと大丈夫。
問題は1つだけあるわ。娘が強いことよ。
お友達とケンカしたときに、相手を泣かせてしまわないかしら？
それだけが不安なの。


弁護士がビザの手続きに行ってくれたわ。
数週間で発行されるだろうって言っていた。いよいよ娘とあなたの親子が始まるのね。

他の誰でもない、あなただから安心して娘を託せるわ。
もし私たちが逆の立場だったら、私も不安はあるけどきっと受け入れる。
だって大好きなあなたの子だもの。

電話だともう、話すことが辛くなってきているから
長いメールを送ってしまってごめんなさい。
体力が落ちているのが実感できる、心臓の鼓動も早くなって息苦しくなるわ。
でも不思議と痛みはやってこない。なぜだかわかる？
それは、彼が夢に出てきて痛い部分を擦ってくれるの。
そうすると痛みがなくなるのよ。
そして決まっていつも彼はタバコを燻らせているわ。
そんな姿は大学の時とかわらないのね、憎らしいほど素敵な笑顔で。
そしていつも同じ言葉をかけてくれるの。「もう少しだけ生きてみよう」って。


私が天に召されたら、彼にして欲しいことがあるわ。
私が酔って歩けなくなったときのように、私を両手に抱えて欲しい。
私を軽々と抱えるなんて、バーミンガムにそんな男はいないわ。
なぜなら私は下心のある男が嫌いだから。
両手に抱えられている間の私は、王宮で暮らすプリンセスの気持ちになるわ。
可笑しな話よね、侍がプリンセスを抱えるなんて。


したいこと、してもらいたいことはたくさんあるけど
一番のことはあなたとの友情がずっと続くことよ。
私が死んでも、あなたが死んでもね。

生きている間にあと1度はあなたにメール出来るかしら？
次は私の心のすべてを、あなたに隠さず知らせるわ。
あなたと私は1つだから。





イギリスの友人が、夕方にメールしてくれました

嬉しかったので頑張って自分で翻訳してみました




掲載元
http://s672.photobucket.com/user/afabulousmom/media/Fashion%20Collections/Zara/ScreenCaptures620.jpg.html